2015年11月読了本

〔文庫本〕6冊
江戸川乱歩 『十字路』(講談社文庫)
光瀬龍 『ぬすまれた教室』(フォア文庫)
荻原浩 『オロロ畑でつかまえて』(集英社文庫)
鯨統一郎 『金閣寺に密室』(祥伝社文庫)
ディクスン・カー 『アラビアンナイトの殺人』(創元推理文庫)
アガサ・クリスティー 『ポアロのクリスマス』(ハヤカワ文庫)



〔図書館本〕1冊
蟻川明男 『なるほど日本地名事典1』(大月書店)


11月中に何十年ぶりかの凄い積雪があり、北海道はすっかり真冬の風情でありますが、他地域にお住まいの皆様におかれましては、いかがお過ごしでしょうか。


計7冊読了と、今月もけっこう読めた。
師走はさすがに小忙しくなるので、今月ほどは読めなさそう。

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ジャンル : 本・雑誌

     

アガサ・クリスティー 『ポアロのクリスマス』

アガサ・クリスティー 著 村上啓夫 訳 ポアロのクリスマス(ハヤカワ文庫/1976年刊)【HERCULE POIRT'S CHRISTMAS:1938】 を読む。

クリスマスも近い駅の雑踏をよそに、国外から来て出会ったばかりの男女は、互いに好意を示しながら、それぞれの思惑を内に秘めていた。
男は思う。計画通り実行しよう、これだけを目指して来たのだ。
女が思う。他の事に気をとられてはいけない、念には念を入れて立てた計画なのだから……。
やがて起こったクリスマスの惨劇!
一族再会した富豪の屋敷で当の偏屈な大富豪が血みどろの死体で発見された。
男の思惑とは?女の計画とは?
休暇も返上して捜査を開始したポアロは、事件の鍵は被害者の性格にあると推論する。


先日読んだカーの『アラビアンナイトの殺人』に比べてとても読みやすかった。
どうしてだろうと考えたところ、クリスティーおばさんの情景描写がシンプルなところが良いのだと思った。
あまり説明的にならず、読者が想像できる余地を残すような描き方なのだろう。

さて、作品についてであるが、まず被害者であるこの家の主人が恐ろしく性格の悪い老人で、殺されても気の毒に思わない。
クリスマスのために集まった息子夫婦や孫娘など、犯人は家族の中の誰かであるという状況でポアロのおっさんの捜査が始まる。
警察の捜査担当者と、殺人が起こったとされる時間の各人のアリバイを綿密に検討する過程が、地味なのに面白い。
物理的な捜査だけでなく、被害者の人となりを研究することで犯人に迫れると思っているポアロは、折々に家族各人と会話することによって真相にたどり着く。

読み返してみると、わりと多くヒントが示されていたのだが、当然のようにオレは犯人を当てることはできなかっただよ。
(2015.11.22読了)

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

     

ディクスン・カー 『アラビアンナイトの殺人』

ディクスン・カー 著 宇野利泰 訳 アラビアンナイトの殺人(創元推理文庫/1961年刊)【THE ARABIAN NIGHTS MURDERS:1936】 を読む。

ある夏の夜、ロンドンの博物館を巡回中の警官が、奇々怪々な出来事に遭遇する。
それはとんでもない大事件の発端だった。
天下の奇書アラビアンナイトの構成にならって、この事件を解説するロンドン警視庁のお歴々は、警部と警視と副総監。
三者三様の観察力と捜査法を駆使したその話の聞き手はフェル博士。
陽光輝くアラビアの幻想と陰鬱な濃霧の流れるロンドンの現実が交錯する謎に、フェル博士はいかなる解決を与えるか?


この物語は、ある殺人事件の捜査の過程を、アイルランド人の所轄署警部、イングランド人の警視庁副総監、スコットランド人の警視庁警視が、フェル博士に語るという構成になっている。
事件捜査の初期、中期、後期を担当した各人の話により、何が起きたのか訳が分からない状態から、殺人事件だというのが分かり、関係者の取調べを整理していく話の流れはなかなか面白かった。
各人の証言を比較検討し、矛盾してるところが無いか整理したり、警部や警視が現場捜査する場面など、読み応えはあった。

だがねぇ、事件が起こるシチュエーションがどうもねえ。
「普段生意気な男を恐がらせるためにいたずらを仕掛ける」ために博物館経営者の息子や娘、その友人の博物館従業員などが変装をする、しかもターゲットは娘の婚約者……

なんかね、シラけるのよねえ。
ミステリーの状況設定には、通常の生活では起こりえない話も多々あるが、この場合、ちょっと種類が違うというか、この登場人物たちの程度の低さがシラける原因になっている。
いいトシした大人がするようなことじゃないことをしてるのがね。
物語の設定がいくらバカバカしくても読者はついていけるが、登場人物のアタマが悪いのは良くない。
トリックやアリバイありきの話作りなのは分かるが、作者ももう少し設定を練ったほうがいいんじゃないかと思った。

あと、捜査の語り手がアイルランド、イングランド、スコットランドの各出身なので、口のきき方から物の考え方まで、際だった対照を示していた、…と解説で中島河太郎氏は述べているが、イギリスの人が読んだら「あー、この人いかにもアイルランドっぽいわぁ」とか思うのだろうか?
(2015.11.19読了)

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

     

蟻川明男 『なるほど日本地名事典1』

蟻川明男 著 なるほど日本地名事典1 都道府県名・北海道~山形県(大月書店/2011年刊) を読む。
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教科書によくでてくる地名の起源を紹介、地域の歴史が見えてくる。

全6巻からなる事典の第1巻。
収録は北海道、青森、秋田、岩手、山形。
一県あたり、まず見開き2ページに山や川の名前、次の見開き2ページに市町村の名前を紹介。
その他、各都道府県の名前の由来、全国地名クイズというおまけページもあり。

たぶん小学生の社会科の授業で使う副読本の位置付けの本なのだろう。
小学生の頃に読んだのなら興味深く感じたかもしれない。
(2015.11.14読了)

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テーマ : 図書館で借りた本
ジャンル : 本・雑誌

     

ドラえもん 11

藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 11(小学館/2010年刊)


初出
1978年『入学順調小学一年生』春の号
1978年『小学一年生』4月号~1984年『小学六年生』3月号


この全集の目玉である“学年繰り上がり方式”編集。
この第11巻は、1971年度生まれ(1978年度入学)の小学生が読んだドラえもんとなっている。

『小学一年生』の4月号~8月号分まではコマが大きく1ページ3段であったり、内容的にも絵メインな話である。
学年を追うごとにストーリーも凝ったものになっていって、そういう変遷を辿れるのも、この編集方式の良いところ。
この巻はコミックス未収録の作品がわりとあったのでかなり新鮮な気持ちで読めた。

【通算4冊目】

テーマ : 漫画
ジャンル : アニメ・コミック

     

鯨統一郎 『金閣寺に密室』

鯨統一郎 著 とんち探偵・一休さん 金閣寺に密室(祥伝社文庫/2002年刊) を読む。

応永15年(1408)、初夏。
賢才の誉れ高い建仁寺の小坊主一休に、奇妙な依頼が舞い込んだ。
「足利義満様の死の謎を解いてくだされ」数日前、金閣寺最上層の究竟頂で首吊り死体で発見されたという。
現場は完全なる密室(ひそかむろ)。
しかし、権勢を誇っていた義満に自殺の動機はない。
一休は能楽者の世阿弥らの協力を得て推理を開始。
やがてたどり着いた仰天の真相とは?


文庫本を読むのは仕事の合間にちょっとづつというのが、普段のスタイル。
だが本書の場合、物語が佳境に入ってからは続きが気になって気になって、後半一気読みしてしまった。

本書における一休さんは15歳。
アニメと違い、京言葉で話しているのが新鮮。というか、こっちのほうが本来的に自然だわね。
アニメと同様に新右衛門さんも出てくるのだが、いちいち脳内にアニメの絵と声が再生された。

義満の傍若無人なエピソードの数々は、関係者が皆義満殺しの動機を持ってもおかしくないと思わせるに十分。

「仏に背を向けて読経」「和尚の水飴食い尽くし事件」「衝立の虎を縛る話」「はしをわたるべからず」といったお馴染みの一休とんち話もふんだんに登場。
しかもこれらのとんち話、いちいち事件解明のための伏線になっていて、作者の力量の高さに驚く。

解決篇では、事件関係者一同を集めて推理ショーをするという、本格ミステリーの王道ど真ん中をゆく一休さんが凛々しい。

小坊主同士でなぞなぞ遊びをする場面があるのだが、正解の時「備後」と言うのがウケた。
雑用係としてお寺に住み込んでいる茜という少女がいるのだが、この少女がまた時代小説におけるヒロインの王道というか、気が強く跳ねっ返りなお転婆さんで、一言で言うと
とても良い!
(2015.11.10読了)

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

     

荻原浩 『オロロ畑でつかまえて』

荻原浩 著 オロロ畑でつかまえて(集英社文庫/2001年刊) を読む。

人口わずか300人。主な産物はカンピョウ、ヘラチョンペ、オロロ豆。
超過疎化にあえぐ日本の秘境・大牛郡牛穴村が、村の起死回生を賭けて立ち上がった!
ところが手を組んだ相手は倒産寸前のプロダクション、ユニバーサル広告社。
最弱タッグによる、破れかぶれの村おこし大作戦「牛穴村 新発売キャンペーン」が、今始まるーーー


ユーモア小説は、あれこれ考えずにサクサク読めるのがいいところ。
本書も、ドタバタした面白エピソードを楽しく読ませる良質なコメディであった。
オレも一時期身をやつしていた業界の話であったので、共感する場面がそこそこあり、より面白く読めた部分もある。
キャンペーンに向けての準備期間がとても楽しそうであった。
こういうのはホント準備の時が一番楽しいんだよなあ。
結局目論見自体はとっ散らかって終わってしまったが、牛穴村の村びとたちは幸せに暮らしていけそうで何よりである。
(2015.11.7読了)

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テーマ : 読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

     

光瀬龍 『ぬすまれた教室』

光瀬龍 著 ぬすまれた教室(フォア文庫/1990年刊) を読む。

洋一のクラスでは、誰もいないはずの教室で友達が次々と倒れた。
その時、強い力で引っ張られ、“水をくれ、水をくれ……”と叫ぶ声がするという。
さて、その不気味な奇妙な声の正体は……?
洋一たちは、その正体を探るため、手分けして行動を開始する。
テレパシーをテーマにしたSF童話の傑作!


フォア文庫は、対象学年によって分類されていて、本書は小学校低・中学年が対象である。
なので、やたらとひらがなが多くて、少々読みにくかった。
教室で飼われている金魚がテレパシーで「水をくれ」と訴える話なのだが、巨大化した幻をも駆使して訴えるもんだから、生徒たちには恐怖感を与えてしまったようだ。
幻を見せずに「僕は金魚だけど水槽の水を取り替えておくれ」と穏やかに訴えればいいのにと思った。
あと、『ぬすまれた教室』というタイトルは内容とちょっとズレてると感じた。
挿絵で、主人公の部屋の壁に、著者の名作ジュブナイル『作戦NACL』のポスターが貼ってあったのは少しウケた。
(2015.11.2読了)

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テーマ : 児童書
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江戸川乱歩 『十字路』

江戸川乱歩 著 十字路 江戸川乱歩推理文庫29』(講談社文庫/1988年刊) を読む。

美しい秘書との結婚を夢見る商事会社社長は、逆上した妻を誤って殺してしまった。
友人の商業美術家と自分の妹との結婚に反対する売れない絵描きは、泥酔している。
その夜、神宮外苑の十字路で二つの運命が交錯した!
売れない絵描きと瓜二つの私立探偵・南が、運命の糸を操り始める!


この作品は、探偵作家クラブ会員渡辺剣次氏の考えたプロットを乱歩が執筆した、実質的に合作だったようだ。
倒叙形式で書かれているのが、乱歩的には新味となっている。
話としては、妻を殺してしまった会社社長の事件と、泥酔のうえ頭をぶつけた画家がその後脳内出血で死亡した事件とが交錯するという、なかなか凝った内容。
社長が妻の死体を車で運んでいる時に接触事故を起こし、相手方と示談中に、画家がタクシーと見誤って車に乗り込み、そのまま絶命。
示談が済み、再度車を走らせた社長が、途中点検のために車を止めて、ひょいと後部座席の床に倒れている画家の死体を発見した時の驚きは察するに余りある。
頭の周りに?マークが巡ったであろうなあ。
ついでということで二体の死体を始末するのだが、この辺の描写は焦燥感が伝わるいい場面であった。
死体は、数日後に水入れされるダムの湖底に隠すのだが、これはかなりなアイデアであろう。

各登場人物の造形がどれもイマイチで、魅力的に感じる人物がいなかったのは残念だ。
画家の事件の方面から絡んでくる探偵の南という男は、依頼人である画家の妹に邪な気持ちを抱くが、抱くだけという、この設定いらなくない?と思う男である。
のちに、妻殺しの社長を強請るので、悪漢探偵という人物像なのだろうが、実に中途半端。
しかも社長に殺されるし。

筋立てが乱歩自身の手によるものではない、という先入観があるせいか、物語の進行が淡々としている感じがする。
死体の始末の場面や、探偵と対峙する場面など、手に汗握るところもあるにはあるが、全体的にドライな印象であった。
(2015.11.2読了)

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プロフィール

筒涸屋

Author:筒涸屋
札幌市出身・在住
戌年 射手座 B型 
右投右打 右四つ
好きな言葉:小春日和
2008.3.6開設

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