横溝正史 『花園の悪魔』

横溝正史著 『花園の悪魔』(角川文庫/1976年刊) を読む。
花園の悪魔
東京近郊のS温泉は四季折々の花造りの本場。なかでもいちばん大規模なのは、花乃屋旅館経営の広さ1,000坪もある花壇。
朝早く、園内の見廻りをしていた園丁の山内三造は、ちょうどチューリップの花壇にさしかかった時、異様なものを発見した。
花壇のまんなかに全裸の女があおむけに寝ている。不審に思った三造は、そばに行ってみて呆然とした。女の首には太い紫色の紐の跡が!(『花園の悪魔』)
全4篇収録の金田一事件簿。


『花園の悪魔』
帽子に血がついてたということを新聞で読んだだけで犯人の見当をつけた金田一さん。推理はかっこいいのだが、物語の結末にはからんでこない。この辺り、著者は金田一さんに冷淡な気がする。もうちょっと見栄えよく締めてあげればいいのにね。
どうでもいいけど“悪魔”のつくタイトルが異常に多い作家だなあ。

『蠟美人』←ろうびじん
死姦も出てくるエログロ譚。復顔術を盛り込んだところが掲載当時(昭和31年)としては新しかったのだろうか。エロやグロな事件でも金田一さんが飄々と携わると、そんなヤラシく感じない。
指の骨が事件の解決に関わってくるのは、由利先生ものの作品にもあったような気が・・・

『生ける死仮面』
今度は男色+死姦。もう感覚がマヒしますな(笑)しかも死体が腐って銀バエがたかっているという。さすがの等々力警部も吐きそうになったというのだからすごい。
しかし“腐乱”という単語が出てくるのが多い作品だなあ。
描写はすごいが、トリックはわりと気が利いていて、作品的には本格もの。こんなところが横溝作品の魅力でもあるよね。

『首』
前の三作品が東京の事件(したがって相棒は等々力警部)だったのに対し、この作品の舞台は岡山。とくれば相棒は磯川警部。金田一さんって岡山に静養に行くたび事件に巻き込まれるような・・・だいたい磯川警部を訪ねて静養先を紹介してもらおうというのが間違いの元だよ(笑)
獄門岩なんていうのも登場させたりして、読者サービスに怠りなき横溝師。
一年前と今年のふたつの事件を一挙に解決する金田一さん。罪を憎んで人を憎まずという姿勢の金田一さんに磯川警部も賛同する読後感爽やかな作品。
(2008.10.29読了)

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半村良 『半村良コレクション』

半村良著 『半村良コレクション』(ハヤカワ文庫/1995年刊) を読む。
半村良コレクション
デビュー直後の貴重な短篇から、半村SFの到達点をしめす最新中篇までの32篇に加え、幻の名作『赤い酒場を訪れたまえ』を収録、現代エンタメの巨人の30年間を俯瞰。
ブックガイドを兼ねる詳細な解説と著作リスト付き。


四部構成によるボリュームたっぷりの作品集。
第一部はデビュー直後の短篇が8篇。『ジンクス』や『年始回り』の、著者が作家になる前に経験した職業が出てくる作品が面白い。パロディSFの『浦島』もオレ好み。
第二部の『赤い酒場を訪れたまえ』は、かの『石の血脈』の原型で、この短篇を書いた後『石の血脈』の着想を得たとのこと。オレはまだ『石の血脈』は未読なのだが、『赤い~』がかなり面白かったので、期待大である。
第三部は、1970~89年の間に書かれたショートショートのうち、単行本未収録のものを全て収録。人情SFやら実験小説、怪談、架空書評、落語、はては著者には珍しいジュヴナイルと、SFのごった煮の状況を呈している。『考証・重蓮上人』のテンションは圧倒されるよ。『電話研究』もオレ好みのテイスト。街並みの描写が穏やかで、なおかつ読後に不思議な感覚がのこる『環章』もよい。
第四部は本格SF2篇。そのうち『無人画廊』はショートショートなのだが、時間テーマの小説として重い作品。正直言って理解できたとは思わないが、SFの醍醐味を味あわせてくれる。

この一冊を読めば、かなり広い範囲で半村良の作品世界を堪能できるお得感にあふれた作品集。
(2008.10.27読了)

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矢作俊彦 『傷だらけの天使』

矢作俊彦著 『傷だらけの天使 魔都に天使のハンマーを』(講談社/2008年刊) を読む。
傷だらけの天使
日本中を震撼させたTVドラマ『傷だらけの天使』
そのラストシーンから三十余年後、小暮修は新宿を離れ、公園で宿無し生活を送っていた。
しかし、暴行により意識不明になった仲間が自分の身代わりだったことを知り、姿を見せない敵を突き止めるために、アキラを死なせた街・新宿に再び足を踏み入れる・・・
ドラマファンの期待を大きく上回り、ドラマを知らずとも一気に世界に入り込める、圧倒的エンターテインメント。


オレは連続ドラマは2~3話しかまともに観てないので、まったく作品世界を知らない。だからこの小説に出てくる小暮修のキャラがちゃんとドラマから踏襲されているものかは分からない。
なので、そういうことを抜きにして読み始めたのであるが、これがなかなか面白い。ネットを利用しての犯罪もいい雰囲気だし、何より派手な犯罪なのが良い。
修が、時おり亨が死んだ時のことにさいなまされるように、程よくドラマの最終回を読者に思い出させる演出もいい感じだ。このあたり、どうも映像化を念頭に入れた作りのような気がするのだが、どうだろうか。
マカロニ刑事をからめたギャグや、辰巳のカツラのギャグ(これ、こないだ『ショーケン』で読んだエピソード)など、小ネタもチョコチョコ入っていて、ドラマ全部観てる人にはタマランのだろうなあ。
あ、一つ市役所職員の通称シャークショの活躍ぶりに、どうも違和感が。そこがこの作品の不満点。

もし映像化するのであれば、映画のほうがいいと思う。ショーケンは監督・主演するべきだな。もし監督を別の人でやるのであれば矢作氏がやればいい。
(2008.10.27読了)

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大谷地神社

秋の休日。天気が良いので久し振りに神社に。
新規開拓で大谷地神社に参拝。
鳥居0002 大谷地神社0001

社殿様式は神明造。境内地には樹林多く、札幌市より保存林として指定されている。
本殿0001 本殿0002

天気が良かったので空も撮ってみた。空が高くていかにも秋らしかった。
空0001

大谷地神社
札幌市厚別区大谷地西2丁目2-1
祭 神 大国魂大神
     大名牟遅大神
     少彦名大神
例祭日 9月23日

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山田風太郎 『エドの舞踏会 山田風太郎明治小説全集八』

山田風太郎著 『エドの舞踏会 山田風太郎明治小説全集八』(ちくま文庫/1997年刊) を読む。
エドの舞踏会
海軍少佐・山本権兵衛は将校西郷従道から、元勲夫人たちの舞踏会への出席勧誘係を命じられた。井上馨、伊藤博文、黒田清隆、大隈重信らの“私”の顔と、妻たちの秘められた過去。
鹿鳴館を華やかに彩った女たちを描く!


著者の明治ものを読むのは、『警視庁草紙』以来2作目。
道産子にとってはなじみ深い北海道開拓使初代長官だった人・黒田清隆や、オレが小学生の頃使ってた千円札の人・伊藤博文や、ワセダの人・大隈重信などの妻を通して、明治初期の世の中を描いている。
記録として残っている事実はそのままに、事実同士を繋げる著者のイマジネーションはホントに凄い。どうやってこういう面白い話を考えつくのだろうか。
きっといろんなとこからネタを集めてつなぎ合わせていったのだろうが、その過程で人物像をしっかりと造り上げるのだろうねえ。この人なら本当にこういう思考だったのだろうなと思わせる手腕はホント天才的だと思うのである。

頭山満のサナダ虫のエピソードは、夢野久作『近世快人伝』からの拝借だね。
(2008.10.21読了)

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「会津藩白虎隊士飯沼貞吉ゆかりの地」碑

オレは幕末にはうといので、この人物のこと全く知らなんだ。
白虎隊の中二番隊(という名称も初めて知った)の唯一の生存者とのこと。
なぜこんな所に碑があるのか判らなかったので調べてみたら、明治38年から5年間札幌に住んでいたとのこと。で、碑がある場所は住んでた場所なのだそうだ。
081021_1031~0001
札幌市中央区南7条西1丁目

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光瀬龍 『吹雪の虹』

光瀬龍著 『吹雪の虹』(徳間文庫/1989年刊) を読む。
吹雪の虹
柏木秀人はバイトをしながら流浪の旅を続けていた。新宮寺笙子の行方を捜しているのだ。
孤児だった秀人は笙子の両親に引き取られ、笙子とは兄妹のように育てられたのだった。
だが、秀人がアメリカに行っている間、笙子の一家は交通事故にあい、両親は死亡、笙子は記憶喪失に。それを知って秀人は帰国したのだった。
笙子の姿を求める秀人、そしてひとり必死に生きる笙子―長篇青春小説。


あとがきによると、この作品は著者の青春時代に、身近に起こった出来事をもとに創作したとのこと。
なるほど、登場人物たちの悩み方がなんとなしにレトロなわけだ(笑)
今までの生活が崩壊し不幸な境遇になったり、恋愛のもつれにイライラする、この手の物語はオレの得意なジャンルではない。あまり感情移入できないというか。
商売をしていた父親が死んで借金が残されたとか、高校生にもなって好きな女子にイジワルをするとか、どうにも読んでて困ってしまう。
ドタバタ青春小説なら読んでて楽しめるんだけどね。こういうマジなスタイルの作品って、読んでていろいろ突っ込みたくなるからめんどくさいんだよねえ・・・
って、実は思いっきり作品に入り込んでるじゃん(笑)
(2008.10.15読了)

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清水義範 『異境の聖戦士 ランドルフィ物語5』

清水義範著 『異境の聖戦士 ランドルフィ物語5』(ソノラマ文庫/1986年刊) を読む。
異境の聖戦士
大魔術師ダークマリオンの手により迷宮の森の中に閉じ込められてしまった、光の国トルダニアの王ジャン・ランドルフィとその妻イルージア。
遊軍隊長イェスタ・ウルフと名剣士アーサー・フェンテスは、新たな聖金剛石を手に入れ、その力で若き王を助けようと考え、ウルフは水の国ルーイードへ、フェンテスは火の国ツバイへと旅立った。
ウルフは水中宮殿にある金剛石を得るため、潜水艦に乗り魔獣と戦う。フェンテスは武術試合に参加し金剛石を勝ち取ろうと奮闘する。
首尾よく金剛石を手に入れた二人は迷宮の森の手前で再会する。はたしてランドルフィたちを無事に救い出すことはできるのか?


この巻ではウルフとフェンテスが大活躍。主役であるランドルフィよりも彼らのファンだという読者のために書かれたような巻である。ちなみにオレはウルフを気に入っている。
片や水中で亀の親玉のような魔獣と戦い、片やトーナメント形式の武術大会で優勝したりと、きわめてオーソドックスな創作態度ではあるのだが、やはり物語作りが上手なのだろう、ついついページをめくるスピードが速くなる。
だいたい、この二人、主役のランドルフィよりもキャラが立っているので、彼らのエピソードの方がランドルフィのそれよりも面白いのだ。
終盤になってランドルフィと再会し、謎の少年の登場でこの巻は終わる。そういや前の巻でもランドルフィはほとんど活躍してなかったぞ。はたして次巻では活躍させてもらえるのだろうか?
(2008.10.8読了)

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野村胡堂 『銭形平次捕物控(二) 八人芸の女』

野村胡堂著 『銭形平次捕物控(二) 八人芸の女』(嶋中文庫/2004年刊) を読む。
八人芸の女
江戸中を震え上がらせている兇賊“疾風”が神田の呉服屋に押入った。盗られた金は300両。翌日、30両が平次の家に投げ込まれた。“疾風”が盗んだ金の1割を届けてきたらしい。
一味に美しい娘が関わっていることから、近頃評判の八人芸のお島に疑いがかかる。
表題作ほか全10篇収録。


この巻に収められた10篇のうち、銭を投げたのは2篇。ここぞという時の「投げ銭」はやはり威力があるね。でも描写の仕方はわりとあっさりしているんだよね。
この巻から受けた印象としては、季節だったり風俗だったりの描写がきめ細かい感じがする。捕物帳はこうあるべきという作品が並び、満足いく巻である。
とはいえ、毒殺の方法だとか、本物の書類を偽物に思わせるトリックなど、なかなか味のあるアイデアもあった。
平次と八五郎の掛け合いも楽しいのが多かった。
「(中略)抜かるな、八」
「へっ、憚りながら八五郎兄さんだ。抜かるのは親分の前だが、銭形の御屋敷の路地だ けで―」
「馬鹿野郎ッ」

一話ごとにイラストが入っているのだが、これは初出時のものなのだろうか。これも味わい深い。踊りの師匠と小唄の師匠のイラストが色っぽかった。
(2008.10.7読了)

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筒井康隆 『虚航船団』

筒井康隆著 『虚航船団』(新潮文庫/1992年刊) を読む。
虚航船団
鼬族の惑星クォールの刑紀999年6月3日、国籍不明の2基の核ミサイルにより国際都市ククモが攻撃され、翌日、無数の小型単座戦闘艇に乗ったオオカマキリを従えた文房具の殺戮部隊が天空から飛来した。
それはジャコウネコのスリカタ姉妹の予言どおりの出来事だった・・・
宇宙と歴史のすべてを呑み込んだ超虚構の黙示録的世界。鬼才が放つ戦慄のメッセージ!


いやぁ~、読み終わるまで異常に日にちがかかった。なんと3週間!
9月は意外に仕事が立て込んで、コーヒーブレイクなどの時間が取れず、なかなか読む時間が無かったのが理由の第一。
大作であり難解な作品だったので読むスピードが遅かったのが理由の第二。
なおかつ改行が少ない作品なので1ページにビッシリ文字が詰まっていた。読むのにかなり骨が折れた。

文房具やイタチを擬人化して、極限状況での人の心理や、人類の歴史を映し出すというとても魅力的な作品で、読んでて飽きることは無かったのだが、我ながら本当に読むスピードが遅くて、そのことにイライラしながら読んだ。
後半の方では侵略者である文房具側のエピソードと攻撃される側のイタチのエピソードが入れ替わり立ち代わり描かれ、さらに作者である筒井氏の話なども入り混じり、混沌たる世界に読者は巻き込まれる。
書いててよく混乱しないなあと感心しつつ、自分は混乱しっぱなしで読み終えた。
(2008.10.1読了)

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プロフィール

筒涸屋

Author:筒涸屋
札幌市出身・在住
戌年 射手座 B型 
右投右打 右四つ
好きな言葉:小春日和
2008.3.6開設

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