天野純希 『桃山ビート・トライブ』

2008.02.29(12:49)

天野純希著 『桃山ビート・トライブ』(集英社/2008年刊) を読む。
桃山ビート・トライブ

豊臣秀吉が権勢を振るう時代。
天下一の三味線弾きを目指す藤次郎、出雲のお国一座の笛役者小平太、元奴隷の太鼓叩き弥介、天性の舞姫ちほの4人が一座を結成、型破りな演奏と反体制的言動が都の人々を惹きつけてゆく。
一方、民衆の支配強化をもくろむ石田三成は、河原芸人たちに圧力を加えようとしていた・・・
第20回小説すばる新人賞受賞作。


図書館で借りた本。

これは面白かった!

時代小説というジャンルが新たな局面に入ったことを予感させる一冊。
これから時代小説を描こうとする作家もどんどん新しい視点から創作してもらいたい。

一座のメンバーそれぞれがユニークな人なのがよい。
特にユニークな元奴隷の弥介。
アフリカ人で信長の従者だったという経歴はすごい。
信長の家来となるまでのいきさつは、もちろん時代小説として筋が通っているので(当然フィクションではあるが)荒唐無稽さを感じず読める。
笛吹きの小平太がブサイク好みという設定も妙におかしい。
あといろいろな部分でリアリティを出す著者の腕前は感心するなあ。
ライブ風景も熱気が伝わってきてよい。
音楽好きな読者にも十分ウケると思う。若干、年配の読者には伝わりにくい言葉もあると思うが、まあその辺はしょうがないか。

娯楽作品として申し分ない作品だと思うので、願わくば著者にはこのあとも楽しい作品を発表して欲しいし、受賞作家のフォローを集英社にはきちんとしてほしい。

(過去記事No.179)
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マイ・シューヴァル/ペール・ヴァールー 『サボイ・ホテルの殺人』

2008.02.29(02:58)

マイ・シューヴァル/ペール・ヴァールー著 高見浩訳 『サボイ・ホテルの殺人』(角川文庫/1982年刊)【MURDER AT THE SAVOY:1970】 を読む。
サボイ・ホテルの殺人

スウェーデン南端のマルメ市。サボイ・ホテルの奥まった部屋で、男女7人の客が晩餐の卓を囲んでいた。
ホスト役の男が立ち上がりスピーチを始めて間もなく、室内にポンと小さな音が響いた。男は豪華な料理に顔を埋めるように突っ伏した。
撃たれたのはスウェーデン財界の大立者パルムグレン!混乱のホテルから犯人は悠然と立ち去っていった。 過激派の凶行か、企業間の暗闘か?
捜査に当たるマルティン・ベックの前に、やがて明らかにされるのは、この大資本家の冷酷な面貌だったが・・・


マルティン・ベックシリーズ第6弾。
事件がマルメで起こったので、おなじみのモーンソンが登場。
ベックと二人で捜査に当たるのだが、二人とも似たようなおっさんなので動きが鈍い(笑)それに二人とも妻と別居していて、モーンソンはデンマークにセフレがいるし、ベックはオーサ・トーレル(「笑う警官」で殉職したステンストルムの元恋人)といい関係になるしうらやましいぞ!
それに列車フェリー船“マルメヒュース号”を見て感動していたベックが、デンマークに聞き込みに行く際、ゴリ押ししてこの船に乗船したりして、出張先で好き勝手なことしてます。
あと、モーンソンがコロンボをパロったり(パロディではなく偶然かもしれないけど)、犯人が87分署シリーズを読んでいたり、ちょっとアメリカ市場を意識しているような・・・
作品的にはスウェーデン経済界の暗部をえぐる内容で、資本主義経済における格差社会(どこの国も同じだねえ)に憤りを感じずにはいられない話であった。

(過去記事No.178)〔2008/2/28 12:41:56〕
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かんべむさし 『原魚ヨネチ』

2008.02.29(02:57)

かんべむさし著 『原魚ヨネチ』(講談社文庫/1987年刊) を読む。
原魚ヨネチ

1980,81年に発表された作品を集めたSF短篇集。全11篇収録。
この作品集、思いっきり実験的な作品があったり、神話風や手紙型式などいろんなタイプの話が楽しめるお得な一冊。


まず『ループ式』『アプト式』『スイッチバック式』のトロッコ3部作。
兄貴分と弟分の二人の会話だけで構成されている。
弟分は同一人物だが兄貴分は一話ごとに違う人物。
この人たちがそれぞれ風変わりな人物で、会話のやりとりがとても面白い。
解説の荒巻義雄氏はカミュやカフカを引き合いに出しているが、オレはもちろんそんな哲学的に理解できた訳も無いが楽しく読んだ。

『事件関連死者控』は、ある事件における死亡記事だけで構成されている超実験的小説。
“現場”の出現による死者の記録を連ねているのだが、この“現場”というのが何なのかは明らかにされないままなので、とても想像力をかき立てられる作品。

『そらあかんわ戦記』は元軍人が語る戦争の思い出話。
これは爆笑物。
落研出身の著者らしい、新作落語小説。
戦争批判を飛び越えて人間の愚かさを指摘するラストもピリリとしてよい。

『原魚ヨネチ』は神話のような話。
オレの想像力ではついていけない感じな、著者にしては変わった作風の話であった。
よくわからん雰囲気のものをよくわからんまま読むからオレって底の浅い人間なのかな。

(過去記事No.177)〔2008/2/25 12:40:50〕
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横田順彌 『宇宙ゴミ大戦争』

2008.02.29(02:56)

横田順彌著 『宇宙ゴミ大戦争』(ハヤカワ文庫/1977年刊) を読む。
宇宙ゴミ大戦争

ヨコジュン氏の第一作品集。
シリアスな短篇2篇にハチャハチャ3篇、ショートショート21篇というとても豪華な(寄せ集め的な)作品集。


表題作『宇宙ゴミ大戦争』以下のハチャハチャ作品群はパワーに溢れていて面白い。
オレはこの“荒熊雪之丞”シリーズが大好きなのだ。
パロディやダジャレの連続で初めから終わりまで突き進んでいく感じがよい。
こういう傾向の作品を受けつけない人には徹底的に嫌われてしまいそうな作風がつい肩入れしてしまうのか。
前半に収録されているシリアス作品も地味によい。どちらも終末テーマの作品であるが、つい引き込まれて読んでしまう。ヨコジュン氏が根っからのSF野郎だということがわかる。
後半に収録のショートショート群はひじょうに幻想的なもので、オレにはちょっと肌が合わなかったが、実はこういう短い作品の中にこそ、その作家の本質的なものが見える気がして何だか読んでるこちらが照れくさい。
ヨコジュン氏ってとってもロマンチストなんだよね、きっと。

(過去記事No.176)〔2008/2/22 12:09:47〕
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横溝正史 『仮面劇場』

2008.02.29(02:55)

横溝正史著 『仮面劇場』(角川文庫/1975年刊) を読む。
仮面劇場

瀬戸内海のまっただ中に木の葉のように浮かぶ一艘の小舟。その上にしつらえたガラスの柩の中には一人の美少年が身動きもせず横たわっていた。
助け出された少年が盲聾唖の三重苦とわかった時、ひどく同情した富裕な未亡人が彼を引き取った。しかし、それが恐ろしい連続殺人事件の発端になろうとは・・・
表題作他2篇収録。


由利先生&三津木俊助作品。
盲聾唖の少年を発見・保護する女性と、少年と深い関係のある一家とが偶然にも(!)つき合いがあった為に起こってしまう殺人事件。
強引な舞台設定でなおも読ませてしまう大横溝の筆力には脱帽だ。
舞台さえ出来上がればもう著者のもの。殺人トリックだけはきわめて合理的。
全体的には無理やりな物語ではあるが、「探偵小説」ってこれでいいんじゃない?(笑)

(過去記事No.175)〔2008/2/21 12:08:47〕
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西澤保彦 『笑う怪獣 ミステリ劇場』

2008.02.29(02:54)

西澤保彦著 『笑う怪獣 ミステリ劇場』(新潮社/2003年刊) を読む。
笑う怪獣

巨大怪獣とともに孤島に閉じ込められたアタル、京介、正太郎の悪友三人組と美女(?)三人。
逃げる手立てもなく密室と化した孤島から、闇を切り裂く悲鳴を残しひとり、またひとり消えていく(『怪獣は孤島に笑う』より)
地球侵略を企む凶悪宇宙人、殺人を繰り返す悪の組織の改造人間なども登場。
一読驚愕、驚天動地の特撮+ミステリの合体小説。全7篇収録。


図書館で借りた本。
著者の作品は初体験。巻末の著者略歴を見ると、鮎川哲也賞の最終候補にもなったことがあるのだね。
すると世間的にはミステリ作家ということなのね。
で、この作品、オレにはとても肌が合った。初めっからバカバカしい状況設定の物語って大好き。
ところどころに語られる特撮作品のウンチクなども読者の心をくすぐるし、主人公の三人組もそれぞれ性癖が違っていて、だいたい誰かには共感できそうな感じもよい。
現実の生活が楽しくない時ほど、このような娯楽作品を読むべし!オレってバランスとって生きてるなあ(笑)
表紙&イラストの喜国雅彦氏もよい。
氏の描く女性が割りと好きなこともあるが、あのタッチは物語と合っている気がする。

(過去記事No.174)〔2008/2/20 12:08:09〕
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かんべむさし 『決戦・日本シリーズ』

2008.02.29(02:53)

かんべむさし著 『決戦・日本シリーズ』(ハヤカワ文庫/1976年刊) を読む。
決戦・日本シリーズ

ある年、セ・リーグの阪神タイガース、パ・リーグの阪急ブレーブスの快進撃に目をつけた「スポーツ・イッポン社」は、25周年記念行事として両チームが日本シリーズで戦った場合、優勝チームのファン1,000名を、優勝チーム側の電車に乗せて負けチーム側の路線をパレードするという企画を上げた。
両チームともリーグ優勝をはたし、日本シリーズでの決戦となったが両チームのファンがヒートアップして・・・
表題作ほか『まわる世間に』『背で泣いてる』『追いこまれた時代』を収録。


昭和48年、ハヤカワSFコンテストの応募作にしてデビュー作となった『決戦・日本シリーズ』。
始めから終わりまで休む間もなくドタバタの連続。
とてもユカイな作品だ。途中はさみ込まれるギャグは今では古くさいなと思うところもあるが、全篇にわたるドタバタの熱気は著者の意気込みが感じられてオレには魅力的であった。
今はもう消滅してしまった阪急と、今でも人気チームの阪神の「電鉄シリーズ」という設定は野球ファンにはたまらない。
そして道民のくせにガキの頃から阪急~オリックスのファンだったオレには感慨深いものもある(ちなみにオリと近鉄が合併した時ついにファンをやめた。今はファイターズを応援してますよ。地元ですから)

この本、年に一度開かれる、市内の古書店が集まってやる古本市にて100円均一コーナーで購入したのだが、その時あわせてヨコジュン氏の『宇宙ゴミ大戦争』もゲットした。
どちらもずっと探していた本なので、ワゴンの中からこの2冊を見つけたとき、とても嬉しかったことを記憶している。
「文庫本100円で購入マニア」として快心の瞬間であった。

(過去記事No.173)〔2008/2/19 12:20:09〕
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篠田節子 『絹の変容』

2008.02.29(02:52)

篠田節子著 『絹の変容』(集英社文庫/1993年刊) を読む。
絹の変容

レーザーディスクのように輝く絹織物・・・・偶然、不思議な糸を吐く野蚕を発見した長谷康貴はその魅力に憑かれ、バイオ・テクノロジー技術者有田芳乃の協力で蚕を繁殖させる。
味覚中枢を除去された蚕は雑食性となり、やがてパニックへと・・・
第3回小説すばる新人賞受賞の本格SF篇。


図書館で借りた本。
著者の作品を読むのは初めて。
読み始めて気づいたが、蚕ってオレの大嫌いな蛾になるんじゃないか!少々不安を覚えつつ読み進めていくと・・・
体長15cm、雑食性でほとんどの殺虫剤の効かないイモ虫。うぉ~っ、気持ち悪りい。蚕が行動しているところの描写は、想像力を働かせず、淡々と字面を追うだけにした。だって昆虫苦手なんだもん。
内容にはとても満足。バイオ技術で雑食性蚕を作り出すなんてまさしくサイエンス・フィクション。SF者にはたまらない設定だ。
そしてマッド・サイエンティスト的存在の有田芳乃もよい。格別醜いわけではないが、寂しい顔立ち、そして肉感とか色気には縁がないという描写は妙にリアルである。
後半、主人公とちょっとしたロマンスシーンがあるのだが、美女でないだけに生々しく感じられ、このシーンはバリバリ想像力を駆使したぞ(笑)

この一冊を読んだ限り、オレの文庫本コレクションに加えてしまいそうであるが、ここは自重して他の傾向の作品も読んでみることにする。
これ以上コレクションの対象作家が増えると困っちゃうんだもん。

(過去記事No.172)〔2008/2/16 12:19:15〕
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小鷹信光 『私のハードボイルド』

2008.02.29(02:51)

小鷹信光著 『私のハードボイルド 固茹で玉子の戦後史』(早川書房/2006年刊) を読む。
私のハードボイルド

「ハードボイルド」にこだわり続けた男・小鷹信光。
幼い頃、戦後押し寄せてきたアメリカ大衆文化の洗礼を受け、やがてミステリ小説、とくにハードボイルドに関心を持つ。
学生時代からハードボイルド研究家、翻訳家として頭角を現わし、評論、翻訳、創作と、その貢献は計り知れない日本ハードボイルド界の第一人者である。
そんな彼が、改めて自分にとっての「ハードボイルド」とは何かを問い直した、膨大な資料とユニークなエピソードを交えて語る、集大成ともいうべきエッセイ評論。


図書館で借りた本。
ほとんどハードボイルドは読まないオレであるが、著者のことは知っているのと、肩ひじ張った評論ではなくむしろ日本のハードボイルドの歴史を追うという内容に惹かれてこの本を読んでみた。
うーん、出てくる作家名や作品は読んだことないものばかり(オレはハメットもチャンドラーも1冊も読んだことがない)。
でも年代順にエピソードが紹介されているので、歴史的な流れはよく解った。
小鷹氏の文章も軽妙で読みやすいしね。
だからといってこれからハードボイルドを積極的に読もうという気には・・・・・今のところならないなあ、どうしてだろ?

(過去記事No.171)〔2008/2/14 12:18:13〕
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最相葉月 『星新一 一〇〇一話をつくった人』

2008.02.29(02:50)

最相葉月著 『星新一 一○○一話をつくった人』(新潮社/2007年刊) を読む。
星新一

文庫の発行部数は3,000万部を超えて今なお愛読される星新一。
1001篇のショートショートでネット社会の出現、臓器移植の問題性など「未来」を予見した小説家には、封印された過去があった。出生の秘密、終生つきまとう“負の遺産”、創作の舞台裏と生き残りをかけた闘い。
没後10年、関係者134人への取材と膨大な遺品から生涯をたどる決定版評伝。


図書館で借りた本。
作家になるまでの話が長かったが、これはこれで面白く読める。まあ、評伝を書かれる対象の人物はみんなそうだが波乱万丈の人生ですなあ。
星製薬時代の話は読んでてやはりシンドイ。作家になってからも途中からやはりシンドイ。
作家って辛い職業だねえ。読者でいることが一番気軽でよい。

SFに、ショートショートに市民権を与えるためにと、1000篇以上もの作品を描いていった星新一の気概はとても感じられた。

この作品、SF大賞をとったのだが、オレが読んだ新聞での記事は扱いがとても小さかった。大仏次郎賞受賞の時はかなり大きく出ていたが。今だSFに市民権は与えられていないことを象徴しているようだ。

(過去記事No.170)〔2008/2/9 12:13:37〕
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横溝正史 『女王蜂』

2008.02.29(02:49)

横溝正史著 『女王蜂』(角川文庫/1973年刊) を読む。
女王蜂

類まれな絶世の美女・大道寺智子が亡き母の遺言により月琴島から東京にいる父のもとに引き取られた18歳の誕生日以来、智子を目当てに現れる男達が次々殺される・・・
開かずの間に秘められた19年前の惨劇からすべては始まった!


のっけからスケールのでかい横溝正史。ヒロインの先祖は源頼朝という設定。そして19年前に起こった惨劇にはある高貴な血筋が。伝奇趣味と本格探偵小説を組み合わせたストーリー展開は横溝正史ならではであるなあ。
トリックも数多く使い、それぞれに工夫が感じられて、さすが何度も映像化された作品だと思う。
といってもオレは一度も映像化作品を見てないのであるが。石坂浩二のシリーズの中で、この作品だけなぜか未見。「犬神家」なんか4,5回見てるのに。
あいかわらず金田一さんは、連続殺人の渦中に巻き込まれ、後手に回ってしまうのだが、今回に限っては金田一さんが著者のトリックに最後までだまされていた感じでちょっとかわいそう。作者なんだから主人公にトリック教えてやれと思ったぞ(笑)
読者をだますためなら自分の創った名探偵をもコケにしてしまう著者の執念がすごい。

(過去記事No.169)〔2008/2/4 12:18:55〕
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福岡伸一 『生物と無生物のあいだ』

2008.02.29(02:48)

福岡伸一著 『生物と無生物のあいだ』(講談社現代新書/2007年刊) を読む。
生物と無生物のあいだ

生命とは何か?生物を無生物から区別するものは何か?人類の生命観の変遷とともに考察した科学読物。

図書館で借りた本。
20世紀における分子生物学の流れをわかりやすく解説したり、アメリカの研究者の待遇や、学者同士のせめぎ合いなど、盛りだくさんの内容で充実したものであった。とくにDNAの二重ラセン構造の発見の際のエピソードは生々しい。

生物の身体というのは、ありとあらゆる部位において細胞が絶え間なく分解・合成が繰り返されているという。だから1年くらいで自分を構成している原子はすっかり入れ替わっているそうである。
で、生命とは自己複製を行うシステムであり、生物の構成成分を分解し再構築するものなのだそうだ。
なぜそういうことをするのかというと、タンパク質などは、エントロピー増大の法則によって損傷を受けてしまうから。
自分で書いてて何だかよくわからんが、詳しくは本書参照のこと。

ということは、老化というのは、細胞を分解・再構築するスピードよりも、損傷をうけるスピードの方が早いということか。
だんだん自己複製能力が低下していきジジィになっていくということか。
頭頂部の自己複製能力が著しく低下している今日このごろ、細胞の分解・再構築をスピードアップする技術ができればいいのにと切実に思っている。

(過去記事No.168)〔2008/2/3 12:17:35〕
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梶尾真治 『地球はプレイン・ヨーグルト』

2008.02.29(02:47)

梶尾真治著 『地球はプレイン・ヨーグルト』(ハヤカワ文庫/1979年刊) を読む。
地球はプレイン・ヨーグルト

“おれ”は下町の料理人。客の注文に応じてどんな料理もつくってしまう。それがある日、宇宙人のために料理をつくるハメになった。その宇宙人は、味覚を通じて話し合うというのだ。そして解読者には、最高の美食家といわれる老人が選ばれていたのだ・・・
奇想天外なファースト・コンタクトを描いた表題作をはじめ、短篇の名手・カジシンの実力をいかんなく発揮した第一作品集。全7篇収録。


カジシンはやはり短篇がよい!『フランケンシュタインの方程式』『時空連続下半身』『地球はプレイン・ヨーグルト』のユカイSFは面白く読めた。特に『地球は~』の、味覚で会話するというのは面白い。
印象に残ったのは『清太郎出初式』。H・G・ウエルズの『宇宙戦争』の火星人が日本にも来たという設定。日本は明治時代である。で、ストーリーがいい人情話になっている。カジシンならではの作品であるなあ。
SFファンの間で名作との誉れ高い『美亜へ贈る真珠』はオレには合わなかった。

(過去記事No.167)〔2008/2/2 12:16:35〕
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立川談志 『談志絶倒 昭和落語家伝』

2008.02.29(02:46)

立川談志著 『談志絶倒 昭和落語家伝』(大和書房/2007年刊) を読む。
談志絶倒

写真家田島謹之助が昭和29~30年にかけて撮った落語家の写真をもとに、談志がその落語家について語る。

図書館で借りた本。
当時の師匠格の人達についてを、当時前座だった頃の談志の目線から語っているのだが、いいエピソードよりもマイナスな話の方が多いのは談志らしい(笑)

この本に紹介されている落語家の多くはオレが生まれる前にすでに没しているので、知らない人ばかりなのだが、高座風景の写真を見てると聞いてみたいなあと思う。
こういう昔の人のことを語るのもよいのだが、現在の落語協会、落語芸術協会の幹部達のエピソード(悪口?)なんかも語ってほしいなあ、頼みますよ家元。

(過去記事No.166)〔2008/2/1 12:15:27〕
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梶尾真治 『OKAGE』

2008.02.29(02:45)

梶尾真治著 『OKAGE』(新潮文庫/2004年刊) を読む。
OKAGE_20080606122226.jpg

もうすぐ“その時”が来る。だから生き抜いて欲しい、どんな災いが襲いかかろうとも・・・
集団失踪した子供たちが目指した新しい世界。わずかな手掛かりを頼りに後を追う親たち。しかしその行く手には信じられない光景が待っていた。
はたして念じていた奇跡は起こるのか。


本書は『黄泉がえり』『ドグマ・マ=グロ』と同様、著者の地元・熊本を舞台としたご当地SFで、長篇である。オレはご当地小説は好きだが、カジシンの長篇はあまり好きではない。なぜかと考えてみたら、短篇のほうがより面白いから。長篇の場合、読み終えてみて、特にムダな部分があるわけではないとは思いつつも、読んでる間は何となく読むのが辛い感じがした。どうしてなのかはわからないけど。

本書のテーマが「ポールシフト」なのは、とても懐かしかった。
「ノストラダムスの大予言」(このシリーズもSFだよね)以来だなあ、ポールシフト。話自体は面白かったんだけど、分量以上に長く感じたのは・・・やっぱムダな部分あったんかなあ。

(過去記事No.165)〔2008/1/31 12:43:47〕
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早川書房編集部 『日本SF・幼年期の終り』

2008.02.29(02:44)

早川書房編集部編 『日本SF・幼年期の終り―『世界SF全集』月報より―』(早川書房/2007年刊) を読む。
日本SF・幼年期の終り

1968年10月、「世界初の画期的企画」と銘打たれた『世界SF全集ー21世紀の文学』がスタートした。毎月付録としてはさみこまれた月報には、星新一、筒井康隆、眉村卓などのSF作家はもちろんのこと、谷川俊太郎(詩人)、手塚治虫、松本零士、石森章太郎(漫画家)、都筑道夫、生島治郎、佐野洋(ミステリ作家)など、そうそうたるメンバーがエッセイを寄せている。
日本にSFがようやく根づきだした1970年前後のSF界の状況をみごとに描き出し、それぞれの執筆者のSFへの熱い想いが凝縮したエッセイ、全105篇のなかから34篇を厳選して収録。


図書館で借りた本。
企画自体はお手軽な感は否めないものの、こうして一冊の本としてまとまったものを読むと、当時のSF界の状況が垣間見える気もしてなかなか面白かった。
今でもちょっとそういう所があるが、当時はあまり大きな声で「私はSFファンです」とは言いにくい世の中だったのだろうなあ。

オレは1970年生まれなのだが、物心つく前から周囲に(当時はそうとは意識してないが)SFは溢れていた。ウルトラマンシリーズや仮面ライダーシリーズはすでに放送されていたし、小学校に上がる頃にはドラえもんの単行本も買っていた。
「タイムマシン」なんて言葉はSF用語とも知らずに普通に使用していたし。
そう考えると、少なくともオレよりチョイ上の世代の人からは生まれた時からSFに親しんでいるのだよね。
逆にそれが「SF=子供のもの」的な認識になっている部分もあるとは思う。
オレも親しい人以外にはSF好きだとはあまり言えないところがあるし・・・

(過去記事No.164)〔2008/1/30 12:39:53〕
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山田風太郎 『かげろう忍法帖 山田風太郎忍法帖12』

2008.02.29(02:43)

山田風太郎著 『かげろう忍法帖 山田風太郎忍法帖12』(講談社文庫/1999年刊) を読む。
かげろう忍法帖

「忍法は薬味として、登場人物たちの生き死にを描く」忍法帖ワールドの中でも異色の味わいを持つ短篇集。
忍法帖創作余話であるエッセイも含む全9篇。


『忍者仁木弾正』
自在に顔を取り替えることのできる忍者・仁木弾正を使って、叛心のあるものを探し出そうとする軍学者・由比正雪。彼らの真の目的とは?
『魔界転生』でおなじみの森宗意軒&由比正雪が伊達騒動のきっかけをなすという、尋常では思いつかないストーリーにはあぜんとするばかりだ。
変装の名人・仁木弾正が、伊達騒動の裏で暗躍しているのでは?と思わせるラストは、ミステリ出身の著者ならではの結末でかっこよい。

『忍者本多佐渡守』
徳川家康に影のようにつきしたがった重臣・本多佐渡守の凄まじいまでの権謀術数を、土井大炊頭の視点から描いた一篇。
歴史的事実に作者の想像を融合させる。完成した作品は、フィクションであるはずなのに歴史的事実に思えてしまう・・・何て恐ろしい作品なのでしょうか。
大久保一族の没落も、本多上野介の失脚も歴史的事実である。本多佐渡守が顔に痘瘡が出て死んだのも「三河物語」に書かれていることである。
で、どのようにしてこうなったのか・・・この作品を読めばなるほどと納得してしまう!
大ボラを本当らしく思わせるという点では最高に完成度の高い作品だ。

(過去記事No.163)〔2008/1/29 12:38:06〕
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かんべむさし 『笑撃空母アルバトロス』

2008.02.29(02:42)

かんべむさし著 『笑撃空母アルバトロス』(角川書店/1978年刊) を読む。
笑撃空母アルバトロス

「俺」はふとしたきっかけで1ヶ月の海上生活をタダで楽しむチャンスをつかんだ。
しかもあこがれの海軍で少尉待遇!乗り込む船は原子力空母“エンタープライズ”らしいが、よくわからない。
マスト高くに国連旗を掲げ、指揮官は米中ソの各国人。乗組員も白、黒、黄とまるで人種見本市。
指揮官同士がイガミ合い、艦の行先もウロウロ、キョロキョロと定まらない。
そこにひょっこり美人少尉が登場し、艦内は蜂の巣をつついたような大混乱。爆笑SF長篇。


図書館で借りた本。
体験記を装ったようなコメディ小説。著者の趣味が発揮されていて、海軍ネタには深い知識を披露している。こういう形で知識を吸収するのが好きなオレにとってはタメになった作品だ。
一方、著者もあとがきで語っているように、実録風小説の体裁をとっているため、ドタバタ感がイマイチ足りないところが不満といえば不満。
だが一番不満なところはこの作品、文庫化されていないのだ。調べてみるとかんべ氏の著作、文庫化されていない作品がちょこちょこあるので、文庫コレクターとしては一刻も早くかんべ氏の全著作を文庫にしてほしい。

合わせてヨコジュン氏の全著作の文庫化も

願う!


(過去記事No.162)〔2008/1/28 12:17:37〕
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マイ・シューヴァル/ペール・ヴァールー 『消えた消防車』

2008.02.29(02:41)

マイ・シューヴァル/ペール・ヴァールー著 高見浩訳 『消えた消防車』(角川文庫/1973年刊)【THE FIRE ENGINE THAT DISAPPEARED:1969】 を読む。
消えた消防車

1968年3月7日の寒い夜、ラーソン警部の目の前で、監視中のアパートが爆発炎上した。なぜかとうに出動したはずの消防車は現れず、再度の督促でやっと到着した時、アパートはすでに焼け落ちていた。
消防車はなぜ消えたのか?失火説、放火説の対立する中で行われた現場検証は失火説を裏付けたのだが、やがて捜査線上に戦慄的な陰謀の構図が浮かび上がってきた!


マルティン・ベックシリーズ第5弾。
自動車の窃盗・横流しというきわめて地味な犯罪を背景にしながらも、飽きさせることなく読ませるあたり、著者の巧みさが出ている気がする。
マルティン・ベックが離婚を明確に意識する瞬間が描写されていたり、各刑事のプライベートな部分も数多く出てきて、人間ドラマ感が強く出ている作品に仕上がっている。
それにしてもベックの船好きは筋金入りであるようで、日本海海戦に関する本を読むほどだ。今作品中ではカティ・サークの帆船模型も製作している。
前作『笑う警官』で殉職したステンストルムの後釜としてベックファミリー入りしたスカッケが今後どのように成長していくかというのも気になるところだ。

(過去記事No.161)〔2008/1/27 12:16:59〕
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横田順彌 『真夜中の標的』

2008.02.29(02:40)

横田順彌著 『真夜中の標的』(廣済堂ブルーブックス/1989年刊) を読む。
真夜中の標的

SF、ホラー小説ファンの夫・浩彦と、ミステリ小説フファンの妻・啓子。
二人の住む団地ではひんぱんに不思議な事件が発生する。
浩彦は毎回SF的発想で奇想天外な推理を立てるのだが・・・


図書館で借りた本。
とりあえず驚いたことを一言。
それはこの本が図書館にあったこと。
正直いって売れっ子作家ではない横田氏の、しかも古本屋でも見たことのないような超マイナー級作品を置いているとは札幌市中央図書館恐るべし。
本の傷み具合からするとけっこう借りられている感じだが、おそらくまっとうな(?)ミステリファンが表紙だけ見て借りて、読み始めてから怒り出すパターンが多いのだろうなあ(笑)

著者はユーモアミステリも何作か手がけているが、この作品はかなり遊んでいる。
SF的解釈による推理は、SF好きな人には楽しめる。各話のタイトルが『夜の大走査線』『ある愛の詩』など映画からとって小技もきかせている。
当然SF的推理はすべて的外れで真相は現実的なものに終わるのだが、そのあとさらにひとひねり加えるところも心憎い。

何はともあれオレはヨコジュン氏の作品は大好きだ。

(過去記事No.160)〔2008/1/26 12:16:22〕
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半村良 『戸隠伝説』

2008.02.29(02:39)

半村良著 『戸隠伝説』(講談社文庫/1980年刊) を読む。
戸隠伝説

作家水戸宗衛の助手井上は、偶然に謎の美女ユミと知り合う。彼女は戸隠の神につながる家系の娘だった。二人は恋人同士になり、同時に井上の感覚に奇妙なものが漂い始める。やがて信州に戻ったユミからの誘いで戸隠山に出かけた井上に待ち受けていたのは古代の神々の戦いだった!

前半の日常的な都会の風景描写から、後半の戸隠山での神々の戦いの場面への途方もないギャップ。半村伝奇SFはここのところが面白い。
特に都会の盛り場の細かい描写が、ほんとに日常的なことを書いているのが心憎い。
神々の戦いの場面、古い神々が兵として使うのが遮光器土偶で、新しい神々が使うのがハニワというのが、かわいらしい感じがして笑ってしまった。
最終的な決着をつけず、戦いが一段落したところで終わってしまうのもまたいかにも半村式だ。

(過去記事No.159)〔2008/1/25 12:15:36〕
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山田風太郎 『忍法笑い陰陽師』

2008.02.29(02:38)

山田風太郎著 『忍法笑い陰陽師』(角川文庫/1978年刊)を読む。
忍法笑い陰陽師

生まれた時代が悪かった。
太平の世に忍術など役にも立たず、大道易者稼業を続ける果心堂夫妻。果心堂は甲賀忍者、女房のお狛は伊賀のくノ一。
奇抜な発想と強烈なユーモアで描く抱腹絶倒の連作忍法帖。


この作品はまず設定が爆笑もの。夫が甲賀者で妻が伊賀者。宿敵のはずなのに・・・
ストーリーは五話からなるがすべて下ネタ。3人分の金玉を1人の玉袋に納めたり、チン拓、マン拓までとったりとかなりな自由奔放さ。
ところどころで果心堂が吐くセリフは、男性なら必ずうなずいてしまうような深いものがある。
甲賀者の果心堂は伊賀忍法までも体得しているのに、使う機会は殿様のアソコを元気にするだけというのが何ともぜいたく。
秀吉の時代や家康の時代などの、政治の裏面に利用され凄惨な闘いを描く忍法帖とは違い、全篇に渡ってユーモラスな雰囲気が漂うこの作品、地味ながら面白かった。

(過去記事No.158)〔2008/1/24 12:19:53〕
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半村良 『亜空間要塞』

2008.02.29(02:37)

半村良著 『亜空間要塞』(角川文庫/1977年刊) を読む。
亜空間要塞

異様な風体をした記憶喪失の老人が突然出現した。その人物はSF好きな四人組のうちの一人の叔父にあたり、二十数年間も行方不明の浄閑寺公等だった。出現の謎の解明にむかった彼らに突如、UFOの怪光線が襲いかかって・・・
気がついてみると、異次元空間の浜辺に漂着しており、そこでは“ジョーカンジー”と呼ばれる神がまつられていた・・・


初出はS-Fマガジン1973年9月号~12月号。
『デューン』などのSFや、伝奇、ファンタジーなどいろいろな小説作品のパロディが楽しめる・・・と思うのだが、オレの読んだことのある作品がほとんど出てこなかったのでイマイチ乗り切れなかった。
S-Fマガジン掲載ということでSFネタ満載なのは喜ばしいところ。他の文芸誌だとここまで書けないもんね。

(過去記事No.157)〔2008/1/23 12:19:02〕
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深水黎一郎 『ウルチモ・トルッコ 犯人はあなただ!』

2008.02.29(02:36)

深水黎一郎著 『ウルチモ・トルッコ 犯人はあなただ!』(講談社ノベルス/2007年刊) を読む。
ウルチモ・トルッコ

新聞に連載小説を発表している「私」のもとに一通の手紙が届く。
その手紙には、ミステリー界最後の不可能トリックを用いた<意外な犯人>モノのアイデアを高値で買ってくれと書かれてあった。
差出人が「命と引き換えにしても惜しくない」と訴える究極のトリックとは?


図書館で借りた本。
トリックについては特にコメントなし。
好きか嫌いかだけ言うと、嫌い。
超能力についてのくだりは興味深く読んだ。
オレにとっては超能力実験の話を読めたことがこの作品からの収穫である。
ところでウルチモ・トルッコってどういう意味なの?

(過去記事No.156)〔2008/1/22 12:18:21〕
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筒井康隆 『文学部唯野教授』

2008.02.29(02:35)

筒井康隆著 『文学部唯野教授』(岩波書店同時代ライブラリー/1992年刊) を読む。
文学部唯野教授

究極のパロディか、抱腹絶倒のメタフィクションか!
大学に内緒で小説を発表している唯野先生はグロテスクな大学の日常を乗り切りながら、講義では難解といわれる現代文学理論を快刀乱麻に料理していくのであったが・・・
「大学」と「文学」という二つの制度=権力と渡り合った、爆笑と驚愕の超話題騒然小説!


この作品、単行本が出た時(1990年1月)すぐ読んだのだが途中で挫折した記憶がある。
当時は大学1年から2年になる時期で、学校のことがよく解ってなかったので(あんま学校に行ってなかったし)書いてある内容があまり理解できなかったから。
だが今になって読んでみると、なるほどと思うところが随所にあり、とても楽しめた。
確かに十年一日のごとくのような講義をする先生もいたし、けっこういい歳なのに教授じゃない人もいたぞ。
オレは文学部出身ではないので唯野教授の講義内容はチンプンカンプンだったが文学部出身の人はけっこう楽しめるのだろうね。
文壇ジャーナリズムに対する批判なども盛り込まれ、まさしく筒井文学な本書。
ベストセラーになったのもよくわかる。

(過去記事No.155)〔2008/1/21 12:17:35〕
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横田順彌 『押川春浪回想譚』

2008.02.29(02:34)

横田順彌著 『押川春浪回想譚』(出版芸術社/2007年刊) を読む。
押川春浪回想譚

図書館で借りた本。
「春浪+龍岳+時子」シリーズのオムニバス版。全12篇収録。

『木偶人』
飛騨に伝わる“木子伝説”の物語。木子というのは大工仕事をする人造人間。文字通り木から造られる人のこと。
いいアイデアだなあ。電気的な人造人間と違ってとってもエコな感じがする。活動すればするほど酸素が増えそうだし(笑)

『星月夜』
天文学教授が火星へ移転する話。この小説、明治~大正時代が舞台なので、出てくる機械なんかが現代と比べてちゃっちいのがまた良い。
ここに出てくる火星への移転装置も自転車を改造したもの。ペダルを漕ぐ博士の姿を想像するだけで笑える。

『曲馬団』
ノミを巨大化して芸をさせようとする博士の話。ヨコジュン氏お得意のマッドサイエンス物。ノミのエサとして自分の血液を与えていた博士が、だんだんノミが大きくなり、痩せてしまうのがバカバカしい。

『落葉舞』
押川春浪が離魂病で宇宙空間に飛び出し、宇宙人と遭遇する本格SF篇。と思いきや久しぶりのダジャレ落ち。往年の力技を読むことができヨコジュンファンにはたまらない一篇。
ただしヨコジュンファン以外の人は怒るんだろうなあ。

(過去記事No.154)〔2008/1/20 08:16:55〕
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かんべむさし 『泡噺とことん笑都』

2008.02.29(02:33)

かんべむさし著 『泡噺とことん笑都』(岩波書店/1998年刊) を読む。
泡噺とことん笑都

時はバブル絶頂期。ところは大阪。東京から単身赴任でやって来たサラリーマンが、町内の中学校の体育館建替えとマンション建設話に巻き込まれる。インテリの落語家と知り合い、上方の笑いの文化に触れながら、町内の騒動をともに眺める主人公。全共闘崩れの理屈屋夫婦に元軍人、えげつない商人やホモ教頭など、俗物どもが入り乱れての大騒ぎ。

図書館で借りた本。
やはりかんべ氏、ドタバタ小説が面白い。
ストーリーのひとつの核となっているマンション建設、体育館建替えの騒動。クセのある登場人物たちが繰り広げる騒ぎは喜劇のツボを押さえている著者ならではで楽しく読める。
もうひとつの核となっている笑いについての考察。桂朝之助という落語家を通し、主人公が笑いについて色々と考えるくだりは興味を持って読み進んだ。朝之助以外、米朝以下実在の落語家が実名で登場するのも読み逃せないところ。折にふれて出てくるエピソードは実話を元にしているんだろうなあ。
とにかく面白かった。

(過去記事No.153)〔2008/1/19 13:28:42〕
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眉村卓 『いいかげんワールド』

2008.02.29(02:32)

眉村卓著 『いいかげんワールド』(出版芸術社/2006年刊) を読む。
いいかげんワールド

作家でQ大学の老客員教授・福井一男は教え子の若林快児が生み出した空想世界へまぎれ込んでしまう。魔法の力を身につけたものの、使い方は当の本人にもわからない。右も左もわからぬまま、奇想天外に流されていく暮らしなのだ・・・

図書館で借りた本。
老人がヒロイックファンタジーの世界にまぎれ込む設定がまず笑える。
で、この老主人公、著者自身がかなり投影されているようで、さらに一人称小説なので読みようによっては私小説な感じもする。
ファンタジーワールドにいる老人が、とてもまじめに独白しているという状態は、著者の意図するものではないかもしれないが、たいへん喜劇的に見える。
オレはファンタジーのパロディ、私小説のパロディとしてこの作品を楽しんだ。
普段SF読まない人も、読んで損しないと思うよ。

(過去記事No.152)〔2008/1/17 12:19:19〕
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エド・マクベイン 『人形とキャレラ』

2008.02.29(02:31)

エド・マクベイン著 宇野輝雄訳 『人形とキャレラ』(ハヤカワ文庫/1980年刊)【DOLL:1965】 を読む。
人形とキャレラ

ファッションモデルのティンカ・ザックスが男に刺殺される。隣室では娘のアンナが人形を抱きしめている・・・犯人を目撃したと思われるエレベーター係が失踪し、さらにキャレラとおぼしき焼死体が発見されるに及んで、刑事部屋は色めきたった!華やかな世界の裏側に鋭く迫る巨匠の力作。

今回はキャレラ大ピンチ。犯人にヘロインを打たれ中毒になってしまう。違う作品では撃たれて死ぬ寸前になったこともあるし、もう体ボロボロだね。
まだ若いクリングが一歩成長する話にもなっており、シリーズ中でも重要な作品。
マイヤーが検死報告書の中のハゲ頭に関する部分に異常に反応するエピソードは笑える。でもこの部分、事件解決への伏線ともなっていて感心。
我らがホースの登場が一場面なのはファンとしては残念。

(過去記事No.151)〔2008/1/16 12:17:52〕
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アガサ・クリスチィ 『謎のビッグ・フォア』

2008.02.29(02:30)

アガサ・クリスチィ著 厚木淳訳 『謎のビッグ・フォア』(創元推理文庫/1976年刊)【THE BIG FOUR:1927】 を読む。
謎のビッグ・フォア

国際的な秘密結社<ビッグ・フォア>とは中・米・仏・英4ヶ国出身の怪人物が世界征服を企む犯罪組織だった。ポアロはヘイスティングズと共にこの大組織への挑戦を開始した。しかし敵は豊富な資金と人員を駆使し、二人の抹殺にかかる。敵の攻撃を再三かわし、一歩一歩敵を追いつめていくポアロの活躍!

今までクリスチィの作品は本格物(昔の創元推理文庫の?おじさんマークのもの)しか読んでいなかったので、今回のようなサスペンス物(ネコマーク)は初めて読んだ。こういう傾向の作品ではポアロはけっこう活動的なのね。
この作品では世界征服を企む組織と闘う。仮面ライダーの先輩ですな(笑)
話の展開が早く、読みやすかった。ところどころにちりばめられる推理場面も、トリックが大げさでない分いい感じだった。敵の首領が登場しないのも作品の奥行き感が出てよい。

(過去記事No.150)〔2008/1/15 12:16:53〕
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2008年02月

  1. 天野純希 『桃山ビート・トライブ』(02/29)
  2. マイ・シューヴァル/ペール・ヴァールー 『サボイ・ホテルの殺人』(02/29)
  3. かんべむさし 『原魚ヨネチ』(02/29)
  4. 横田順彌 『宇宙ゴミ大戦争』(02/29)
  5. 横溝正史 『仮面劇場』(02/29)
  6. 西澤保彦 『笑う怪獣 ミステリ劇場』(02/29)
  7. かんべむさし 『決戦・日本シリーズ』(02/29)
  8. 篠田節子 『絹の変容』(02/29)
  9. 小鷹信光 『私のハードボイルド』(02/29)
  10. 最相葉月 『星新一 一〇〇一話をつくった人』(02/29)
  11. 横溝正史 『女王蜂』(02/29)
  12. 福岡伸一 『生物と無生物のあいだ』(02/29)
  13. 梶尾真治 『地球はプレイン・ヨーグルト』(02/29)
  14. 立川談志 『談志絶倒 昭和落語家伝』(02/29)
  15. 梶尾真治 『OKAGE』(02/29)
  16. 早川書房編集部 『日本SF・幼年期の終り』(02/29)
  17. 山田風太郎 『かげろう忍法帖 山田風太郎忍法帖12』(02/29)
  18. かんべむさし 『笑撃空母アルバトロス』(02/29)
  19. マイ・シューヴァル/ペール・ヴァールー 『消えた消防車』(02/29)
  20. 横田順彌 『真夜中の標的』(02/29)
  21. 半村良 『戸隠伝説』(02/29)
  22. 山田風太郎 『忍法笑い陰陽師』(02/29)
  23. 半村良 『亜空間要塞』(02/29)
  24. 深水黎一郎 『ウルチモ・トルッコ 犯人はあなただ!』(02/29)
  25. 筒井康隆 『文学部唯野教授』(02/29)
  26. 横田順彌 『押川春浪回想譚』(02/29)
  27. かんべむさし 『泡噺とことん笑都』(02/29)
  28. 眉村卓 『いいかげんワールド』(02/29)
  29. エド・マクベイン 『人形とキャレラ』(02/29)
  30. アガサ・クリスチィ 『謎のビッグ・フォア』(02/29)
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