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筒井康隆 『アルファルファ作戦』

筒井康隆 著 アルファルファ作戦(中公文庫/1978年刊) を読む。
アルファルファ作戦
老人問題への温かい心情を示した表題作をはじめとして、著者の諷刺魂が見事に発揮されたSF短篇集。
大人の恐怖と笑いをつめ込んだ全9篇。


アルファルファ作戦
この作品、恐らく1960年代に描かれていると思うのだが、超高齢化社会を見透かしたような内容なのがすごい。
SF作家の洞察力は切れ味が良すぎて怖いときがある。

近所迷惑
ドタバタ小説の典型的作品。
目まぐるしく状況が変化していく展開は、著者の真骨頂だ。

慶安大変記
大学生対予備校生が慶安の変になぞらえた感じで対決。
大学教育に対して皮肉たっぷりな作品。

人口九千九百億
人口が9,900億人になった地球を描く、著者らしくもない、非常にSFらしい作品。
エレベーターSFというジャンルのSF作家の作品タイトルがとても面白い。

公共伏魔殿
NHKを思いっきり揶揄した話。
今現在、NHKをこき下ろす作品を書こうとしたら、この作品と同じようなテイストになることだろう。


一回読んだだけでは理解できなかったので、3回くらい読み返した。
何回か読むと面白さが分かるのだが、その面白さを表現する力量がないので感想は述べない。

一万二千粒の錠剤
全国で120人だけに、百年長生きできる薬が政府から支給されたことによる悲劇。
身近な人たちが、己の欲望の為ににわかに敵対者になる恐ろしさ。

懲戒の部屋
冤罪で痴漢にされた男の災難。
いわゆる市民運動のやり口を、分かり易く小説化していて、とても胸くそ悪い気分になる。

色眼鏡の狂詩曲
外国人から見た日本のイメージが戯画的に語られているが、よその国に対して持つ印象がその国の人から見ればトンチンカンなことって、いつになったら解消されるのであろうか。
(2013.9.7読了)

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テーマ : SF小説
ジャンル : 本・雑誌

色川武大 『私の旧約聖書』

色川武大 著 『私の旧約聖書』(中公文庫/1991年刊) を読む。
私の旧約聖書
人生のはずれ者、札付きの不良という少年期からの深い認識。
中学時代、偶然読んだ旧約聖書によって、はじめて神と人間との契約にふれた旧約の世界を知り、同時に人間の叡智への底知れない怖れを感じた著者の、生涯にわたる旧約聖書との密なかかわりを語る。


旧約聖書のあらすじを追いながら、聖書の感想や自分の経験談なんかをつらつら書き記す本書。
文章が話し言葉であるので、とても柔らかい。
神さまを「イェホバ氏」「イェホバさん」なんて、親しげというかくだけた感じで書いたりして面白い。

そもそも聖書ってのは、神と人間との相互契約について書かれたもので、人間が神とほぼ互角に渡り合っている様子も描かれているんだそうな。
「お前さんが何もしてくれないならそれでもいい。そのかわり、お前さんの存在が疑われるのだよ。お前さんは、俺たちを幸せにすることでしか、存在を立証できないのだからね」
この色川訳、わかりやすくていいわあ。

あいかわらず、例えを用いる時にはギャンブルになぞらえて説明してくれるのも分かりいい。
オレが今まで旧約聖書で読んだことのある部分は、「エゼキエル書」「ダニエル書」などの預言書ばかりであった。
本書を読んで、ほかにも面白そうな話があることが分かったが、今すぐ聖書読んでみたいという気には、残念ながらならなかった。
(2011.3.28読了)

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テーマ : 読んだ本。
ジャンル : 本・雑誌

色川武大 『いずれ我が身も』

色川武大 著 『いずれ我が身も』(中公文庫/2004年刊) を読む。
いずれ我が身も
育ってしまうのは外側だけにして、内実は不良少年のまま一生を終えたい。
葬式だってシャレのつもりでうんとにぎやかに遊んでしまいたい
――変化を嫌い、外側の飾りを嫌って無頼に生きた男・晩年のエッセイ。


著者のエッセイは、人生を語る時、ギャンブルに例えて語ってくれたりするので
とてもわかりやすい。
逆にギャンブルを人生になぞらえることも。
戦後間もなくの東京の様子を述べる文章は臨場感があっていい。
著名人との交流についての文章は、たいていギャンブルがらみの交流を述べるので、
普段イメージしているのとは違う側面が見えたりして面白い。

著者のエッセイはホント読みやすくて面白いので、
あっという間に読んでしまう。
(2011.2.1読了)

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テーマ : 読書ノウト
ジャンル : 本・雑誌

高橋克彦 『闇から来た少女』

高橋克彦 著 『闇から来た少女 ドールズ』(中公文庫/1989年刊) を読む。
闇から来た少女
盛岡で喫茶店“ドールズ”を経営する月岡真司の7歳になる娘・怜が、雪道で車にはねられ重傷を負った。
だが入院中の彼女は、次々と不可解な症状を示し始めた。
さらに深夜奇妙な行動をとったり、人形に異常な執着をみせたりする。
怜の叔父・結城恒一郎は、人形作家の小夜島香雪とともにその謎を探るが・・・
異色の長篇ホラー・サスペンス。


紹介文ではホラー・サスペンスとのことであったが、オレはホラーな印象を持たなかった。
潜在意識下にある前世の記憶が、表面に出てくるという話なのだが、
むしろコメディな感じさえする。
7歳の少女に江戸時代の人形師の意識が表出して江戸弁で会話するんだから。
こっちの線を膨らませばドタバタコメディになるなあと思いながら読んだ。

なにかに興味を持つきっかけが、潜在意識に住んでいる誰かの記憶がそうさせているのだというのは、
なるほどと思える。
歴代の前世の人たちが自分の中に存在していると思うとワクワクする。

主人公の恒一郎、ちょっとキザだな。
お相手の香雪さんに前日電話で告白して、次の日。いい雰囲気になって、
「今夜で構わないのかい」
拒否られることは無いだろうという自信に裏打ちされたこのセリフ!
憎たらしいな、おい。
オレなら、そんなこと聞いてしまって万が一拒否られたら困るので、何も言わずにヤります(笑)
(2010.11.28読了)

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筒涸屋

Author:筒涸屋
札幌市出身・在住
戌年 射手座 B型 
右投右打 右四つ
好きな言葉:小春日和
2008.3.6開設

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