山田風太郎 『剣鬼と遊女 山田風太郎傑作大全9』

2010.01.09(06:30)

山田風太郎著 『剣鬼と遊女 山田風太郎傑作大全9』(廣済堂文庫/1997年刊) を読む。
剣鬼と遊女
花魁三千歳の間夫直侍こと片岡直次郎、南部藩と津軽藩の確執から起きた相馬事件の狙撃手・相馬大作こと下斗米秀之進ら豪華な脇役を縦横に駆使し、吉原を舞台に妖しい剣気に包まれたご隠居と遊女の、戦慄と悦楽を描く(『剣鬼と遊女』)
ほか、五代将軍綱吉、寵臣柳沢吉保、怪僧隆光の回想で物語が展開する『元禄おさめの方』など全6篇収録。


『剣鬼と遊女』
この作品には片岡直次郎(天保六花撰の一人)、下斗米秀之進(相馬事件の首謀者)といった実在の人物が登場するのだが、悲しいことにオレはどちらも知らなんだ。
幕末に弱いことが露呈してしまったオレは、もっと勉強しなければと思ったのであった。

『元禄おさめの方』
犬公方綱吉、柳沢吉保、怪僧隆光の三人がおさめの方を回想する内容。
「大天狗綱吉」という章タイトルからすると、作者は後白河法皇をイメージしていたのであろうか。
オレには、この作品での綱吉は後醍醐天皇っぽく感じた。
それにしても、これらの人たちを魅了したおさめの方というのはどんだけ美女だったのだろうか。
風太郎作品に登場する美女はほんと魅力的に描写されている。

『姦臣今川状』
今川義元の後を継いだ氏真の政策は不戦主義。
まるで現代日本のような今川家は当然攻められるよね。
2010年現在、日本の周りに甲斐や三河のような強国がいなくてよかったよね(狂国はいるけど)。

『筒なし呆兵衛』
忍者から盗賊へ堕ちた大鳥呆兵衛。彼は自由にジンマシンを発生させ、文字化することができるのだ!・・・
ジンマシン文字を摩羅に起こさせ、女陰に文字をコピーするのが呆兵衛の忍法なのだが、コピーするにあたって動いてはいけないというのが切ない。

『紅閨の神方医』
インチキ医術で江戸城奥詰医師にまで登りつめた万久里小路馬竿斎。
女の尻をまくるのが好きだから万久里小路なんだって(笑)
ちょびっと現代社会を風刺している感じなのだが、あくまでも娯楽小説として読ませてくれる。

『陰萎将軍伝』
第13代将軍・家定が主人公。
この将軍さま、学校で習った覚えがまったく無いほど地味な人であるが、時代的には黒船来航の時の将軍なんだね。
いや勉強になるわあ。
(2010.1.5読了)

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山田風太郎 『江戸にいる私 山田風太郎傑作大全22』

2009.06.22(19:09)

山田風太郎著 『江戸にいる私 山田風太郎傑作大全22』(廣済堂文庫/1998年刊) を読む。
江戸にいる私
ある年の正月、藪井庄一氏は妻と息子の笑いを期待してチョンマゲのかつらを被って祝膳についたが相手にされず、激論の末立腹した藪井氏は、酒をがぶ飲みし泥酔状態に。
息子の庄助が勝手に外出しようとするのに激怒し、後を追って外に出た藪井氏は江戸の田沼時代へタイムスリップしてしまい・・・
全6篇収録の中・短篇集。


『山田真竜軒』
地の文が講談調で語られる、荒木又右衛門の敵討ちを描いた一篇。
テンポのいい文章に引き込まれる。
娯楽に徹した物語とはまさにこういう作品を指すのだろう。

『悲恋華陣』
うってかわって重い内容の時代劇。
戦国時代の敵味方の駆引きが短篇の中にぎゅっと詰まっている。

『黒百合抄』
北政所と淀君の心理的闘争を描いた作品。
最後に大坂城が燃えているのを見ながら北政所が放つセリフが、それまでの行動や言動とはうってかわったものになるのが読み所。

『明智太閤』
本能寺の変の第一報が、秀吉ではなく先に毛利方に入っていたら・・・という歴史if小説。
タッチの差で遅れを取った秀吉が敗軍の将となってしまう展開が面白い。
光秀が“太閤”になってもお茶々は愛妾の座につくのだね(笑)

『叛心十六歳』
由比正雪16歳の青春譚。
その後、慶安事件を起こす動機となる(?)失恋物語である。
やはりというか、森宗意軒が登場するのが嬉しい。

『江戸にいる私』
山田風太郎のSF作品は滅法面白い。
藪井氏が生活していた昭和40年代と、タイムスリップした先の田沼時代とを比較してウンヌン語ったり、田沼時代の政治状況を明治~太平洋戦争時のことと対比して語ったりと、超楽しい中にも批判精神満載で、こういうところが山田作品の真骨頂である。
(2009.6.20読了)

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廣済堂文庫

  1. 山田風太郎 『剣鬼と遊女 山田風太郎傑作大全9』(01/09)
  2. 山田風太郎 『江戸にいる私 山田風太郎傑作大全22』(06/22)