鯨統一郎 『金閣寺に密室』

鯨統一郎 著 とんち探偵・一休さん 金閣寺に密室(祥伝社文庫/2002年刊) を読む。

応永15年(1408)、初夏。
賢才の誉れ高い建仁寺の小坊主一休に、奇妙な依頼が舞い込んだ。
「足利義満様の死の謎を解いてくだされ」数日前、金閣寺最上層の究竟頂で首吊り死体で発見されたという。
現場は完全なる密室(ひそかむろ)。
しかし、権勢を誇っていた義満に自殺の動機はない。
一休は能楽者の世阿弥らの協力を得て推理を開始。
やがてたどり着いた仰天の真相とは?


文庫本を読むのは仕事の合間にちょっとづつというのが、普段のスタイル。
だが本書の場合、物語が佳境に入ってからは続きが気になって気になって、後半一気読みしてしまった。

本書における一休さんは15歳。
アニメと違い、京言葉で話しているのが新鮮。というか、こっちのほうが本来的に自然だわね。
アニメと同様に新右衛門さんも出てくるのだが、いちいち脳内にアニメの絵と声が再生された。

義満の傍若無人なエピソードの数々は、関係者が皆義満殺しの動機を持ってもおかしくないと思わせるに十分。

「仏に背を向けて読経」「和尚の水飴食い尽くし事件」「衝立の虎を縛る話」「はしをわたるべからず」といったお馴染みの一休とんち話もふんだんに登場。
しかもこれらのとんち話、いちいち事件解明のための伏線になっていて、作者の力量の高さに驚く。

解決篇では、事件関係者一同を集めて推理ショーをするという、本格ミステリーの王道ど真ん中をゆく一休さんが凛々しい。

小坊主同士でなぞなぞ遊びをする場面があるのだが、正解の時「備後」と言うのがウケた。
雑用係としてお寺に住み込んでいる茜という少女がいるのだが、この少女がまた時代小説におけるヒロインの王道というか、気が強く跳ねっ返りなお転婆さんで、一言で言うと
とても良い!
(2015.11.10読了)

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清水義範 『その後のシンデレラ』

清水義範 著 その後のシンデレラ(祥伝社文庫/2002年刊) を読む。
その後のシンデレラ
不幸なシンデレラも、最後には王子様と結婚する。メデタシメデタシ。
しかし、それで終らないのが人生。
そもそも王子様は一目惚れの相手を探すため、国中を騒がせるような男。ならば二人の結婚生活は?
―――年頃を迎えた「赤ずきん」ちゃん、成長して現実に目覚めた「不思議の国のアリス」など、おなじみの名作童話のその後を描く『その後のシンデレラ』など、全8篇収録の短篇集。


その後のシンデレラ
いろんな物語のその後を勝手に描く趣旨の作品。
シンデレラのその後はあまりヒネリが感じられず、たいして面白くなかった。
「ジャックと豆の木」のジャックは、そのまま勇敢な男として成長し、船でアジアかアフリカへ行き、略奪はするは、香辛料、茶、麻薬を輸入し大儲けするは、その土地の芸術品を本国へ運ぶは、土地の住民を完膚無きまでに叩きのめすはと、やりたい放題。そして大英帝国は大いに栄えたそうである。実際の英国そのまんまじゃん。
「赤ずきんちゃん」は年頃になり赤ストッキングちゃんになって、もう娘になったからにはオオカミともつきあっていかなくちゃってなって、とてもエロティークな話に発展した。これはとても好い話になった。
「裸の王様」に登場していたペテン師の仕立屋は、ペテンがばれて隣の国に逃げ出した。そこの国の元首は、若く美しくナイスバディな女王様だった!あとは予想通り、国中の男たちの歓喜の中パレードが(笑)
この話はむちゃくちゃ良い!

全面対決
本社総務部と、支社営業部が会議にのぞむ。
総務部の意向をなんとか支社営業に飲ませたい本社側は、一人の社員が高杉晋作っぽく演説をぶつ。
高杉の口調だと察した支社側は坂本龍馬で応酬、すると本社の別の社員が勝海舟を気どる、という風に会議に出席した人全員が司馬遼太郎作品のキャラになりきって議論する。
本社側・・・高杉晋作、勝海舟、岡田以蔵
支社側・・・坂本龍馬、沖田総司、大村益次郎
こんな会議、楽しそうだけど疲れるよなあ。

王様の耳
仕事帰りに、最近転勤してきた社員を誘ったら、超酒乱だった!
オレは酒乱の人に行き会ったことがないのだが、恐ろしいらしいね。
何がスイッチになって乱れるのか解らないみたいね。
他人の経験談を聞くだけでも怖いので、絶対酒乱の人とは飲みたくない。
(2012.8.29読了)

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荒山徹 『魔岩伝説』

荒山徹著 『魔岩伝説』(祥伝社文庫/2006年刊) を読む。
魔岩伝説
折しも朝鮮通信使が50年ぶりに来日する直前、対馬藩の江戸屋敷に曲者が侵入した。
幕閣が放つ剣客柳生卍兵衛の魔手から若き遠山景元が救ったのは、なんと朝鮮の女忍びだった。
彼女が仄めかす徳川幕府200年の泰平を震撼させる、李氏朝鮮と家康との密約とは?
国禁を犯し、朝鮮に渡る景元とその追っ手たち。
史実の裏で繰り広げられる壮大無比な傑作時代伝奇!


荒山作品を読むのは、『高麗秘帖』『魔風海峡』に続き3作目。すべて面白い作品であるが、今回のは特におもしろかった。ちゃんと刊行順に読んでる自分がちょっとかわいい。
『魔風海峡』を読んだときにちょっと思った、説明の文や資料によってストーリーの流れが分断されてしまうということが無く、物語の流れとして読めたので、ワクワク感が削がれることが無かった。

この物語は青年時代の遠山の金さんが主人公。朝鮮通信使の謎を追い朝鮮に渡り、済州島独立や朝鮮王朝打倒を目論む人たちと一緒に王朝と闘う。
太陰石という霊力満点の岩を巡っての闘いの話なのだが、この岩は司馬遷の『史記』に記載されているほどの古くて由緒のある岩なのだ。
この岩の霊力によって李王朝は永らえていて、霊力のお裾分けを徳川幕府はもらっている。そのお裾分けのために朝鮮通信使が来日するのだ!

話が展開するたびに山場が用意されていて、息つくヒマがない。
金さんの桜吹雪の刺青の理由が、無理なくストーリーに溶け込んでいるのがうまいなあ。
金さんの敵役として登場の柳生卍兵衛もかっこいい。隻眼で、そのうえ持ってる刀が三池典太。もちろん強い。

家康の出自の秘密や日光東照宮の謎、さらには天海大僧正の謀略など、圧倒的なスケール感で描かれた作品で、読後感も非常に良かった。
(2010.9.23読了)

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山本一力 『大川わたり』

山本一力著 『大川わたり』(祥伝社文庫/2005年刊) を読む。
大川わたり
「二十両をけえし終わるまでは、大川を渡るんじゃねえ。一歩でも渡ったら、始末する」
博徒の親分との命がけの約束。大工の銀次は、永代橋の前で動けなくなった・・・
博打にはまり、仲間の家庭まで潰した銀次は懊悩しながらも、剣法者の勧めで、日本橋の老舗呉服屋の手代として新たな人生を歩む。
しかし、渡れぬ川を越えなければならない出来事が!


博打でカタにはめられて20両もの借金を背負った大工の銀次。
借金を返そうとする銀次に、周りの人間達が(博徒の親分でさえも)、応援しようと思うってことは、この銀次氏、人として何か魅力的なところがあるのだろうねえ。オレには伝わらなかったけども。

銀次が大工から呉服屋の手代へ商売替えしてからの展開は、じっくり読めてなかなか味わい深かった。住込み女中のおやすとの恋愛模様は読んでいて心暖まった。

クライマックスからは、銀次の存在が薄くなってしまったことが惜しい。
で、最後に感じたことは、「人間は良いことをしながら悪いこともする」ということ。
この作品は、池波正太郎の世界観を山本流に描いたものである。
(2009.8.25読了)

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荒山徹 『魔風海峡(下) 血戦!高麗七忍衆』

荒山徹著 『魔風海峡(下) 血戦!高麗七忍衆』(祥伝社文庫/2004年刊) を読む。
魔風海峡(下)
真田幸村主従を待ち受けていたのは、王子・臨海君率いる高麗忍者の想像を絶する用術戦だった。霧隠才蔵、筧十蔵が倒され、さらに根津甚八にも危機が。
明からの独立を勝ち取るために欽明帝の隠し財宝を求める臨海君。彼を利用しようとし、やがて従うようになる服部半蔵。そして豊家再興を策すため財宝を希求する幸村、猿飛佐助らが剣と頭脳と忍術の限りを尽くす!


下巻では、登場する忍法が上巻よりスケールアップ!というか、とてつもなくなりすぎて若干失笑を漏らしてしまう技も。技についての文献を紹介して済ますよりも、山田風太郎みたいに化学的、生理学的な無理やり説明(笑)を駆使して、もう少し信憑性を持たせてもよかったと思う。ただ、忍法勝負をしている場面は面白くて読む速度が早くなる。
それに対し、合戦の場面はいまいちノリが悪いというか、文章がもたつく感じがして、読むのがちょっと苦痛に思うところも。
上巻でちらっと紹介されていた、平安朝の頃の欽明党の王子が伊予親王(桓武帝の王子)で、新羅・唐・日本を股にかけた海商・張保皐だったというくだりはスケール感といい、歴史的な面(日本と百済、任那の関係をふまえた)といい、いいアイデアである。ただ、伊予親王自身がホログラムで登場してしまうのはいかがなものかと思ったが(笑)
読了して思うに、李舜臣との海戦など、普通の戦争の描写は極力控え、忍法や剣法の場面だけで繋いでいった方が、作品が引き締まったのではないか。上下巻、ちょっと長かったのだよね。
(2008.11.21読了)

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荒山徹 『魔風海峡(上) 死闘!真田忍法団』

荒山徹著 『魔風海峡(上) 死闘!真田忍法団』(祥伝社文庫/2004年刊) を読む。
魔風海峡(上)
慶長の朝鮮征伐は泥沼と化し、秀吉も死の床に伏していた。豊臣家にとって、家康を牽制するためにも財政の立直しが急務だった。
「一千年前、欽明帝が任那日本府に遺した隠し財宝を探して欲しい」
三成から密命を受けた真田幸村は、真田忍団とともに釜山に渡る。一方、その動きを察知した家康は服部半蔵に追跡させる。
日朝の忍者が威信をかけて戦う圧倒的時代巨編!


著者の作品を読むのは久し振り。前に読んだ『高麗秘帖』はめっちゃ面白かったので、今作品も期待して読み始める。
う~ん、期待以上に面白いぞ!
オレが今まで読んできた好きな伝奇作家たち(山田風太郎、五味康佑、隆慶一郎)をごった煮にした感のある作風。
真田幸村の心のセリフ<やるかね、みんな> 隆慶一郎テイスト!
「風魔忍法、隠形眼」 風太郎忍法帖ばりに、忍者は技の名前を言ってから術を仕掛ける。

任那に隠された埋蔵金をめぐって、真田十勇士が朝鮮の忍者と死闘を繰り広げる。なんとワクワクする物語であろうか。合い間に「三国史記」などの歴史書の内容を紹介したりして、もっともらしさを演出するところも伝奇小説の楽しさのひとつ。

上巻では霧隠才蔵と筧十蔵が殺られてしまう。はたして真田忍団は全滅してしまうのか?それとも任務を無事果たすことができるのか?朝鮮忍者・檀奇七忍衆もすげえ強いぞ!
(2008.11.13読了)

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プロフィール

筒涸屋

Author:筒涸屋
札幌市出身・在住
戌年 射手座 B型 
右投右打 右四つ
好きな言葉:小春日和
2008.3.6開設

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