野村胡堂 『銭形平次捕物控(八) お珊文身調べ』

野村胡堂 著 銭形平次捕物控(八) お珊文身調べ(嶋中文庫/2004年刊) を読む。
銭形(八)
平次が八五郎を誘って出かけた“文身自慢の会”で、最後に飛び込んできた男の下腹部には、見事な蛇が彫られていた。
さらに、その男を逃がすように現われた美しい女の上半身には、十二支のうち、七つまでが……
はたして、ふたりは平次の追う十二支組の残党なのか?
表題作「お珊文身調べ」など十編を収録。


鈴を慕う女
あちこちの神社の拝殿の鈴が盗まれる事件から、島原の乱の残党を召捕る大捕物へ。
平次親分、2枚投げ銭してます。
話の舞台が江戸時代初期ということは、この作品わりと初期に書かれたものなのだろうか。

路地の足跡
狡知に長けた犯人を鮮やかに捕らえる平次親分。
人間観察で犯人の目星をつける洞察力が良い。

濡れた千両箱
盗んだ千両箱を隠すトリックが見事な作品であった。
平次親分の、ホームズばりの捜査もテキパキしていてよい。

怪伝白い鼠
一番利益を得るのは誰か?という犯罪捜査の基本で見事犯人をつかまえる平次親分。
投げ銭も一発必中で犯人の二の腕を打つ。

朱塗の筐
本所の親分、石原の利助の娘、お品がゲスト出演。
とりあえず無実の人間を縛っておいて、後日お白州にて真犯人を捕らえる平次親分。
平次が真犯人を指摘した後に、カッコいいセリフを吐いて颯爽と立ち去る笹野の旦那がステキだ。

お珊文身調べ
この作品では、平次親分の活躍時期が寛永から明暦の頃とされている。
文身(ほりもの)のウンチクが語られていて面白い作品だった。
八五郎が、くるぶしに小さい桃の文身をしているのが笑える。

鉄砲汁
八五郎の持っている大なまくらの脇差が十両もの大金で売れたことを聞いた平次親分が、事件の臭いをかぎつける。
結局、抜荷仲間の毒殺事件を解決した平次親分だったが、自宅を放火されて正月そうそう八五郎の家に居候することに。
「親分を居候に置いたとあれば、あっしも肩身が広い」
本当に、この親分・子分の関係は気持ちよい。

お染の嘆き
“罪を憎んで人を憎まず”なことがたびたびある平次親分。
「またいつものが始まったぜ」と言う八五郎のセリフがいいよねえ。

雪の精
またまた下手人を告発せずに逃がす平次親分。
一名を“しくじり平次”と呼ばれてるそうだが、こういう時、笹野の旦那にはきちんと事情を説明しているのだろうか。

縁結び
けっこう入り組んだ殺人事件を解決するも、手柄を他の岡っ引きに譲る平次親分。
こんなところが岡っ引き仲間から一目置かれるんだよね。
「娘三人の心持を滅茶滅茶にするより、いつまでも独り者の八五郎の方が立派さ」
「その気で付き合って下さい、親分」
こういう親分子分のやりとりもまたいい。
(2012.9.8読了)

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野村胡堂 『銭形平次捕物控(一) 平次屠蘇機嫌』

野村胡堂 著 銭形平次捕物控(一) 平次屠蘇機嫌(嶋中文庫/2004年刊) を読む。
銭形(一)
神田明神下に恋女房のお静と暮らす岡っ引き銭形平次が、ガラッ八こと八五郎を相棒に、難事件を解決していく捕物帳。
江戸の風物詩も織り込みながら人情味あふれる平次親分の活躍を描く。
元日の昼下がり、平次と八五郎が入った料理屋は、「裏返し」の奇妙な料理屋だった・・・
表題作「平次屠蘇機嫌」など全10篇収録。


いつもかっこいい平次親分と、馬面の気のいい子分八五郎の活躍。
恋女房お静や、話のわかる名与力・笹野の旦那もいい味出してる。
感想は追記で。
(2011.11.16読了)

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野村胡堂 『銭形平次捕物控(二) 八人芸の女』

野村胡堂著 『銭形平次捕物控(二) 八人芸の女』(嶋中文庫/2004年刊) を読む。
八人芸の女
江戸中を震え上がらせている兇賊“疾風”が神田の呉服屋に押入った。盗られた金は300両。翌日、30両が平次の家に投げ込まれた。“疾風”が盗んだ金の1割を届けてきたらしい。
一味に美しい娘が関わっていることから、近頃評判の八人芸のお島に疑いがかかる。
表題作ほか全10篇収録。


この巻に収められた10篇のうち、銭を投げたのは2篇。ここぞという時の「投げ銭」はやはり威力があるね。でも描写の仕方はわりとあっさりしているんだよね。
この巻から受けた印象としては、季節だったり風俗だったりの描写がきめ細かい感じがする。捕物帳はこうあるべきという作品が並び、満足いく巻である。
とはいえ、毒殺の方法だとか、本物の書類を偽物に思わせるトリックなど、なかなか味のあるアイデアもあった。
平次と八五郎の掛け合いも楽しいのが多かった。
「(中略)抜かるな、八」
「へっ、憚りながら八五郎兄さんだ。抜かるのは親分の前だが、銭形の御屋敷の路地だ けで―」
「馬鹿野郎ッ」

一話ごとにイラストが入っているのだが、これは初出時のものなのだろうか。これも味わい深い。踊りの師匠と小唄の師匠のイラストが色っぽかった。
(2008.10.7読了)

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札幌市出身・在住
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