基本的に読み終えた文庫本の感想を語るブログ。 その他の趣味については披露したりしなかったり。
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ニール・F・カミンズ 『もしも宇宙を旅したら』
2008-08-20 Wed 17:46
ニール・F・カミンズ著 三宅真砂子訳 『もしも宇宙を旅したら 地球に無事帰還するための手引き』(ソフトバンク クリエイティブ/2008年刊)【THE HAZARDS OF SPACE TRAVEL:A TOURIST'S GUIDE:2007】 を読む。
もしも宇宙を旅したら

現在、宇宙旅行は夢物語ではない。火星、小惑星、彗星、木星系への旅なら、今後半世紀のあいだに実現する見込みがある。
しかし、宇宙旅行には命を脅かす危険が伴う。宇宙酔いや無重力空間が及ぼす人体への影響、貴重な飲料水の確保、不眠症やメンタル・ヘルスへの対処・・・どのような危険に遭うかを予測できれば、より安全な旅行に近づくだろう。
宇宙旅行の危険性、準備すべきことをあらゆる角度から検証した、ロマンあふれる科学シミュレーション。


人間が宇宙に旅立ったとき、どのような危険が待ち構えているのかを、数々紹介している本書。
いろいろな場面・状況を想定して、どんだけ危険なのかを教えてくれるのはいいのだが、解決策についてはほとんど示してくれず、“いずれ〜だろう”といった言い方しかしてくれない。
「はじめに」で著者は、“いよいよ宇宙旅行の時代がやってきた”と書いているけども、本書を読んでみると克服しなければならないことが多すぎて、宇宙旅行の時代はまだまだ先のことだと思うなあ。少なくともオレが生きてるうちは一般的なものにはなっていない気がする。
でも、「もういつ死んでもいいや」って思えるほどの人生を歩めたとしたら、死ぬつもりで宇宙旅行してみたいけどね。無理くさいけど(笑)

本書には、ベテラン宇宙飛行士マックによる宇宙航海日誌という、具体的な危険についてのショート・ストーリーが入っているのだが・・・
学者さんが素人読者に興味を持ってもらおうと頑張っている姿勢は好ましいのだが・・・
いらなかったと思うなあ・・・・・
(2008.8.15読了)

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北野勇作 『かめくん』
2008-08-16 Sat 01:26
北野勇作著 『かめくん』(徳間デュアル文庫/2001年刊) を読む。
かめくん
かめくんは自分がほんもののカメではないことを知っている。
ほんものではないが、ほんもののカメに似ているからヒトはかめくんたちのような存在をカメと呼んでいるのだ。だからカメではなく、レプリカメと呼ばれたりもする。
かめくんは「木星戦争」に投入するために開発されたカメ型ヒューマノイドなのだ。


著者の作品を読むのは初めて。読みやすい文章でオレの好みに合っている。

ロボットが日常生活を送るエピソードを重ねていくという、まあ地味な物語であるのだが、大多数の日本人にとっては『ドラえもん』以来、伝統の(?)世界観であり、飽きのこない構造である。
このかめくん、HONDAのasimoが、しょってる四角いやつを甲羅に換えて、フェイスを表紙イラストのようにしたら出来上がるなあ。

話が進むにつれて、かめくんの素性がだんだん分かってくる展開が楽しい。
ゆるやか系な物語であるが、SFとして案外かっちりとしていて読み応えあり。
(2008.8.12読了)

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横溝正史 『悪魔の設計図』
2008-08-11 Mon 18:10
横溝正史著 『悪魔の設計図』(角川文庫/1976年刊) を読む。
悪魔の設計図
旅芝居の役者殺しを皮切りに、たて続けに殺人が起きた。
事件解決に乗り出した名探偵由利先生と三津木俊助は、被害者が一様にある大富豪の隠し子である事実をつきとめた。だがその時、最後の遺産相続人である盲目の娘に残虐な犯人の魔の手が!
表題作ほか『石膏美人』『獣人』を収録。


由利先生ものは状況設定がかなりファンタジックな作品が多い気がする。
『悪魔の設計図』の犯行動機や、事件の核となる遺言状のことなど、この時期の横溝作品を表わすキーワード“草双紙趣味”を如何なく発揮している。
『石膏美人』は息をつかせぬスピーディな展開で面白かった。トリックをぜいたくに使っているし、謎の連続攻撃は当時(初出 昭和11年)の探偵小説の中では群を抜いていたのではないだろうか。真犯人が分かったあともう一ひねりあるところは、さすが大横溝という感じ。
『獣人』は由利先生の学生時代の活躍譚。ドイルの『這う人』の完全パクリ。解説の中島河太郎氏は、“大学者のジキルとハイドのような二重性が暴露される”と、ちょいと方向をそらした解説をしているがフォローになっているようななっていないような(笑)
(2008.8.8読了)

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五味康祐 『スポーツマン一刀斎』
2008-08-08 Fri 12:30
五味康祐著 『スポーツマン一刀斎』(講談社文庫/1995年刊) を読む。
スポーツマン一刀斎
奈良の山奥から武者修行に出た若者が、なにげなくプロ野球場の打席に立った時から大騒動は始まった。連続ホームラン37本、目かくしでも打球はスタンドに一直線!
巨人軍に入団、とてつもない強打を連発した男こそ、一刀流始祖・伊藤景久十七代目の末裔、伊藤一刀斎敏明だった。
そして一年後、故郷に引きこもった一刀斎は、球界に復帰する条件としてあっと驚く要求を。
「婦女子の世話をしていただきたい」
無刀取りに勝る“精をうつす術”を悟得するために色の道をきわめたいからだと言う。
そして一刀斎は、要求を受けた山本監督率いる南海ホークスに入団する・・・


短篇の『一刀斎は背番号6』は面白かった。剣術の達人が代打の切札(守備ができないので)としてホームランを打ちまくる話。
その続編として、故郷に戻った一刀斎が再び球界に復帰する本作は、大部分が“色道修行”の場面で、野球しているシーンが少なく物足りなかった。
修行のお相手として登場するのは、物語当時(昭和30年代)活躍していた女優たち。なんと実名で登場。だが平成20年の今日、はっきり言ってその方々の名前では“色道”のイメージが湧きようがないのであった・・・(笑)
ただ、一刀斎の“天然ボケ”キャラぶりは爆笑モノで、江戸時代からタイムスリップしてきたようなこの男の行動は一読の価値あり。
(2008.8.6読了)

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南信長 『現代マンガの冒険者たち』
2008-08-06 Wed 12:56
南信長著 『現代マンガの冒険者たち 大友克洋からオノ・ナツメまで』(NTT出版/2008年刊) を読む。
現代マンガの冒険者たち
いろいろな紙誌でマンガ解説をしている著者が、マンガをもっと楽しむためにまとめたガイドブック。現代マンガの歴史の中でキーパーソンとなる作家たちを選び出し「どこがすごいのか」「マンガ界にどんな影響を与えたのか」を検証しながら、チャート図なども用いて漫画家の系統進化の流れを俯瞰できるようにした、いわば<現代マンガ進化論>

マンガを色んな角度から掘り下げて解説していて、とても解りやすく整理されている。
「大友克洋<以前/以後>」は読んでナルホドと思った。でもオレ大友作品って読んだこと無いんだよね。大友氏のすごさを実感していないのがちょっと口惜しい。

第3章の、ギャグマンガについての解説はオレが最も好むジャンルのことであるし、解説されている作家が、オレがガキの頃読んでた人達が多くて特に読み応えがあった。江口寿史と鴨川つばめのところは胸苦しいエピソードであるよね。以前にも違う本で読んでて知ってたことだけど、何度読んでも鴨川氏は気の毒である。
吉田戦車もなじみの作家で、オレの年代の人たちには、『伝染るんです』の前から劇画系エロマンガ誌(っていうか当時は劇画系しか無かった)にちょいちょい4コマが掲載されていた記憶があると思う。

少女マンガの系譜はほんとに勉強になった。オレの少女マンガの知識は、小学生の頃に妹が「なかよし」を定期購読していた数年間だけなので、いろいろとタメになった。

著者もあとがきで断っているが、エロマンガが割愛されているのが惜しい。あと、「コロコロコミック」や学習誌などの現代児童マンガもフォローされていればもっと良かった。

本書に紹介されていた作品で読んでみたいと思ったもの。
泉昌之『かっこいいスキヤキ』 田中圭一『神罰 田中圭一最低漫画全集』
さそうあきら『マエストロ』 松田奈緒子『レタスバーガープリーズ.OK,OK!』
笠辺哲『フライングガール』 島田虎之助『ラスト・ワルツ』 石原まこちん『THE 3名様』
柏木ハルコ作品 本秀康作品

荒雑人様、この中で持ってるのあったら貸してください。
(2008.8.4読了)

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清水義範 『高野山黄金伝説』
2008-08-05 Tue 12:26
清水義範著 『高野山黄金伝説』(双葉文庫/1988年刊) を読む。
高野山黄金伝説
高野山に秀吉の隠し金がある―菅沼英治は、有人が旅先で耳にしたこのひとことをきっかけに、14年間勤めていた会社を辞めた。
秀吉の埋蔵金と謎の僧・木食上人、そして今に残る空海伝説。3人の仲間と調査を続ける菅沼の前に、歴史の裏にひそむ驚くべき真実が明かされようとしていた。高野山に向かった彼らが見たものは・・・?


今回読んだ作品は、著者の師匠・半村良師の得意ワザの現代伝奇。主人公がエッチする場面は荒巻氏のテイストも。
半村師と比べると正直物足りない。だがまあ、現代の戯作者と云われた師匠の語り口と、この作品の頃(単行本は1985年刊)の若き清水氏を比べるのは酷であろうね。
空海にまつわる歴史ウンチクは面白かったしタメになった。こういう、学生のときに習わない歴史を学べるのがこのジャンルの醍醐味なのだよね。
(2008.8.4読了)

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ブラッドリー・C・エドワーズ/フィリップ・レーガン 『宇宙旅行はエレベーターで』
2008-08-04 Mon 08:53
ブラッドリー・C・エドワーズ/フィリップ・レーガン著 関根光宏訳 『宇宙旅行はエレベーターで』(ランダムハウス講談社/2008年刊)【LEAVING THE PLANET BY SPACE ELEVATOR:2006】 を読む。
宇宙旅行はエレベーターで
2029年、宇宙エレベーターが実現する。
ここ10年ほどの間に、宇宙エレベーター構想はSFの世界から現実の世界へと飛び出し、実現可能な研究プロジェクトとして動きはじめている。
専門的・技術的な本ではない、一般の読者を対象とした概説書。


一般の読者を対象にしたといっても、物理学的な説明はチンプンカンプンでしたが・・・こういうところ、文系読者はつらい。
経済的な面や安全性の面で、宇宙エレベーターのほうがロケットよりも優れているのだろうということは解った。カーボンナノチューブという素材が発見されたことが宇宙エレベーターの実現性を高めたんだね。ほんと世の中というのは知らないうちに進歩しているなあ。
宇宙エレベーター自体は、資金さえあればホントすぐにでも建設できそうな印象を持ったが、本書にも書かれている通り、政治的な問題をどうクリアするのかが焦点だろうねえ。純粋に政治的な問題よりも軍産複合体との関係の方がやっかいな気もするし。
結局、実現するのは2029年より後になるのではないかなあ。さらにそれから商業ベースに乗って、一般人が旅行として宇宙に行けるようになるにはどのくらいかかるんだろうか。

オレが生きてる間に月に行けるようになるなら行ってみたい。
ということで、これから月旅行貯金しようかと思うんだけど、一人で行くのは寂しいのでどなたかご一緒しませんか?(笑)
何年までにいくら貯めれば良いものか目標設定の相談もしたいです。
(2008.7.31読了)

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山田風太郎 『忍法女郎屋戦争』
2008-08-01 Fri 12:28
山田風太郎著 『忍法女郎屋戦争』(角川文庫/1981年刊) を読む。
忍法女郎屋戦争
権勢を誇る老中田沼意次の馬鹿息子で若年寄の田沼沖意知は、侍専用の女郎屋、いわば公務員レクリエーション設備として国営遊郭を作ることを発案した。父意次の許可を得た意知は、市場調査とその設営を伊賀組に命じた。
出世と引き換えにこの命令を受けて帰った、妻に頭の上がらない婿養子の伊賀組頭領服部億蔵は・・・
忍者の掟をテーマに描く忍法帖短篇集。全7篇収録。


『忍法女郎屋戦争』
幕府が遊郭経営に乗り出すという、なんとも愉快なアイデア。これだけでも相当おもしろいのだが、伊賀組頭領の情けなさぶりがさらに笑える。ただ、婿養子といえどもさすがに頭領だけにすごい忍法を使うぞ!

『忍法瞳録』
瞳録の術というのは、死ぬ時に目にしていたものを、目玉にビデオテープのように保存しておく術。
こんなすごい忍法、伊賀でも甲賀でもなく、志摩忍びの術だなんて、日本人ってスゴイ!(笑)

『忍法花盗人』
エロ路線の忍法帖は本当におもしろい。ストーリーとしては、会津藩のお家断絶問題やら忍者夫婦の哀しい別れやらと、けっこうハードな内容であるが、忍法を使う場面はめちゃくちゃ楽しいぞ!
(2008.7.31読了)

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清水義範 『黄金惑星の伝説』
2008-07-31 Thu 08:58
清水義範著 『黄金惑星の伝説』(ソノラマ文庫/1979年刊) を読む。
黄金惑星の伝説
辺境の惑星ルシャナに、開拓民の父親を訪ねるため地球を出発した少年リュウ。援助物資を積んだ輸送船が爆破され、船長のハリーとリュウは、宇宙海賊のウィルに助けられる。
ルシャナに埋蔵されていると噂される莫大な宝石を狙うウィルは、援助物資の輸送を約束する代わりに、ルシャナへの道案内を要求する。
宇宙開拓者を志す少年、輸送屋、宇宙海賊、科学者らが辺境惑星目指して宇宙を駆け巡るスペースオペラ。


宇宙の果ての星を開拓する父親に会いに行く少年。宇宙船のナイスガイな船長。宇宙船をつけ狙う宇宙海賊・・・血沸き肉踊る舞台設定。さらに、船長も海賊の親分も射撃の腕前バツグンで熱血漢。タイプは違うがどちらも男の中の男といった風情。宇宙船爆破事件があったり、殺戮集団に襲われたりしながら男として成長していく少年。
このようなストーリーの宇宙SF、ガキの頃よく読んでたなあ。おっさんになってから読んでも楽しいなあ。
ただ、著者が著者だけに、今になって読むと、この作品自体がスペースオペラをパロっているような気がしてしまう(笑)
(2008.7.25読了)

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アガサ・クリスティー 『ひらいたトランプ』
2008-07-28 Mon 12:26
アガサ・クリスティー著 加島祥造訳 『ひらいたトランプ』(ハヤカワ文庫/1976年刊)【CARDS ON THE TABLE:1936】 を読む。
ひらいたトランプ
“生きた犯罪コレクションを見せましょう”シャイタナ氏の奇妙な申し出はポワロの興味を引いた。殺人の前歴のある人間たちを集めてパーティを催すというのだ。
不気味なパーティは何事もなく進んだ。だが食後、客たちがブリッジに熱中している間に、客間でシャイタナ氏が刺殺体となって発見された!
ブリッジの点数表を通して殺人者の心理を読み、真犯人を追うポアロの推理が冴える、クリスティー中期の名作。


この作品、最初から容疑者と殺人の動機がはっきりと読者に提示されている点が面白い。容疑者は絞られているので、その中から今回の殺人(ナイフによる刺殺)を行うだけの度胸がある人物が誰なのか探すというのがテーマ。
ブリッジの成績表をもとに容疑者たちの性格を分析し、捜査を進めるポワロ。物語的には派手な展開があるわけではないのだが、容疑者それぞれの性格が解きほぐされていく過程は読み応えあり。
容疑者4人に対し、捜査側も4人(警察、軍の諜報関係者、女流探偵作家、ポワロ)と対抗戦のような感じにしているのも楽しい。
解説にもあるように、ブリッジのルールを知っていて読むと楽しさが倍増するのだろうね。成績表から性格や、犯行当時の真犯人の心理的動向をも導き出すポワロの洞察力は見事なものである。
(2008.7.23読了)

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